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Ⅱ章 時こそ今は花は香炉に打薫じ⑤

結局俺は邪魔者ですか? 皆、俺から離れていく 皆、裏切るんだ 「父さんも母さんも、俺を裏切って死んだ!」 「鷹緒、ご両親を悪く言うな!」 「貴方もッ」 父様……貴方も…… 「俺を置いて、そいつと一緒になるんだろ!」 「そんな事はしない!」 伸ばした手を力任せに掴まれた。 呼吸が止まる。 濡れた生暖かい感触が口を塞いだ…… 鷹緒の唇が、俺の唇を 「俺はずっと……」 睫毛が触れるほど間近にある琥珀の瞳が揺れる。 「慕っています。貴方の心も……」 貴方の体も 「色狂いの父様」

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