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Ⅱ章 時こそ今は花は香炉に打薫じ⑩

雪が降ってきた。 真夏の焼け跡に、ひらりと舞った白い…… 紙片 「あなたは今も……」 父を想い……… 「愛しているのですか」 『時こそ今は花は香炉に打薫じ』 形見の手帳に綴られた詩の断片 「ボードレール」 震える肩が首を降った。 「……違う」 形見の詩を握りしめて。 「中原中也だ」

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