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夜七時、人でいっぱいの街中。
待ち合わせ場所に先に来ていた緒方の元へ……俺は真っ青になって駆け寄った。
「すすす、すみま、すみま、」
「俺に説教されたいみてぇだな、佐藤」
「ちちち、違、違」
五分遅刻して、真正面から緒方に睨まれた俺、てんぱるしかない。
ギリギリまで悩んで、結局、女装してきました。
また同じ友達んとこ行って「女装に目覚めた!」とかテキトーに言っておいて。
実家を出て大学生活を送ってるという友達のねーちゃんのお古、借りてきました。
制服じゃなくて、ふわっとゆるっとした、白レースの襟がついた、膝丈のシフォンワンピース。
ドット柄で、こーいうの、ガーリーっていうんだっけ?
足には黒ニーソ。
テヘヘ、靴まで借りてきちゃった……ぺたんこパンプス、これでヒールとかあったら確実にコケてたぞ、俺。
そんで、伊達眼鏡はやめといて、ちょこっと化粧もしてみた。
友達いわく「ねーちゃんよりかわいーぞ」らしいけど、ほ、ほんとかよ……? あいつお世辞言ったんじゃねーの?
「遅れてすみませぇん」
へこへこ礼をしながら、ガン見したら睨み返されそうだから、目の前に立つ緒方をちらっ、ちらっ、俺はチラ見した。
Vネックの五分袖シャツにブラックのジーンズ。
筋肉ついてるけど細身寄りで、背ぇ高いから、すっきりした格好、すげー似合ってる。
教師っぽくない。
やっぱ男前でいらっしゃいますね。
三十にはいってなさそーだよなー。
俺が前に告った、まりあちゃんとか、もぇりんセンパイとか、こーいうかんじがタイプだったのかなー……。
「行くぞ」
「わっ」
ぱっと見、硬派な男前の緒方、だけど歩き出す際は俺の肩にぐっと腕を回してきて、なんかベタベタなアホアホカップルみたいな。
い、行くって……どこ行くの?
ま、ま、まさかラブホ!?
ずるずるずるずるずる!!
緒方といっしょにラーメンずるずる中、です。
割と小綺麗なラーメン店、二十代っぽいお客さんが多くて、ボックス席もあって、カップルもちらほらいて。
俺と緒方はカウンターで並んでひたすらラーメンずるずる。
やっぱ塩とんこつ、うま、友達は醤油派多いけど、俺は塩とんこつ一筋!
塩ラーメンもとんこつラーメンもふつー、でも塩+とんこつだと最強!
……じゃなくて。
……ラーメンおいしーですけど、何故に、緒方といっしょに夜ラーメン?
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