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8-勉強教えて!

「あれぇ、まさかコーイチくん?」 日曜日の昼下がり、初めての巽宅訪問。 俺はすきっぷらんらんな気持ちで見慣れない町をスマホのナビ見つつ歩いていた。 茶色のローファーかつかつ言わせて。 そう、今日は女装してます、JK風です、けっこー伸びた髪、おにゅーのシュシュで女子結びしちゃってます。 今日は巽に勉強教えてもらうんだ。 一応、あの人教師やってるし、今度の期末で赤点とったらまじシャレになんない俺なので、ちゃんと真面目に教えてもらうんだ、うん。 「ふぇ?」 ノートとか教科書とかペンとか消しゴムとか、勉強道具詰め込んだトートバッグを肩から引っ提げていた俺は振り返った。 コンビニ前でおしゃべりしていた女子らが俺のことガン見している。 あ、こいつら中学で一緒だった、でも名前忘れちゃった、えっと、適当にごまかそっと。 「あー、うー、おーっす、元気ー?」 「いやいやいやいや」 「なんで女装してんの?」 「やばくない? かわいくない?」 「うぉ、まじ!? もっと言ってー!」 女装を褒められてテンション上がった俺、元同級生女子らと通行人の邪魔になる勢いでしばし写真撮影会楽しんじゃった。 そしたらさぁ。 いきなり首根っこがしぃって掴まれて、やっべ、超こえー人にキレられるってぎょっとしてたらさぁ。 「遅ぇよ、ノロマ」 俺のこと迎えにきてくれた巽がすぐ真後ろに立ってたんだぁ、テヘヘ!

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