「修学旅行？」 「ああ。引率で北海道に五泊六日、網走、札幌、小樽、富良野」 「えー！　いいないいな！」 そんな会話を交わしたのが先週の土曜日。 月曜日、巽は北海道へ出発した。 そして今日は土曜日。 巽、北海道から帰ってきます。 午前中、補講で学校に出ていた俺は制服のまんま巽んちに向かい、ちょっと前にぽいって渡された合い鍵（わーーーーい♪）で部屋に上がった。 帰ってくるのは夕方過ぎなんだって。 それまでに俺、カレー、作っちゃいます。 材料はそこのスーパーで買ってきた、タマネギ、ニンジン、じゃがいも、豚肉、牛肉、カレールー、あとリンゴ。 俺が唯一作れるゴハン。 きっと疲れてる巽のため頑張って作ってあげるんだ、わー、俺ってすっごくできるコみたい！ まー今日は女装するヒマないけどさ。 「うわっうンま！　いつもよりうま！」 ウチより狭いキッチンで色々もたついたもののカレー完成、味見してみたらうまくてまじテンションあがった、昼、コンビニのおにぎり一個しか食べてねーし、がっつりいっちゃおっかな、あーでも巽が帰ってくるまで待つか、やっぱ一緒に食べたいもん。 俺はお米もシャカシャカ洗って、炊飯器のタイマーセットして、巽のいないベッドでゴロ寝した。 早く帰ってこないかな。 でもまだ外すげー明るい、今何時？ え、まだ四時？ 腹へったー。 じゃなくて。 帰ってくんの、まだ先かー、ちぇー。 ちょっと眠い。 ちょっと寝よっかな、ちょっとだけ、ちょびっと……ふわぁぁぁ……むにゃむにゃ……ｚｚｚｚｚ……。 がちゃがちゃ ……ん？ これ何の音？ あーぶくたったーにえたったー、むしゃむしゃ、何の音？　お化けの音ー！　……じゃなくて。 がさがさ お隣さん、出入りしてんのかな？ だってまだ四時でしょ？ 巽が帰ってくんのって夕方過ぎ……、……。 ……なんか暗くね？ 俺ってば一瞬で爆睡してたみたい。 もぞもぞ起き上がってみればカーテン開けっ放しの部屋は薄暗くて、外は夕方っていうよりもう夜っぽくて。 しかも巽、いたんです。 いつの間にか帰ってきてました。 や、たった今帰ってきたんだろーけど、それで俺起こされたんだろーけど。