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「あわわったっ巽さっおかえりなさい!」
部屋の隅にどさっと荷物を下ろした巽は無表情で俺を見下ろした。
やばーーーーい。
怒ってる、かも。
そりゃー、そーだよね、疲れて帰ってきたら自分のベッドでぐーすか寝てんだもん、俺でもいらっとするよ、うん。
「えっと」
「カレー作ったのか、お前」
「えっ? あっうん! 巽さん帰ってきたら一緒に食べよーと思って!」
「……へぇ」
あ、あれ?
なんか反応薄くね?
やっぱ怒ってる?
てか、まさかカレー嫌いとか?
え、そんな人存在するの?
ハヤシライスだめって奴は知ってるけど、カレー嫌いな奴、俺、会ったことないんだけど、巽、まさかそーなの? それともシチュー派?
「あ、えっと、あ、暗いからカーテン閉めて電気点けなきゃだよね!」
なんか喋らないと、なんかしないと間が保たないと思った俺、ベッドから大慌てで立ち上がって窓辺に駆け寄った、あ、そーいえばちょっと開けてたっけ、道理でちょっと寒い気が、し、
「わ!?」
俺はびっくりした。
いきなり背後から巽に抱きしめられて心臓が止まるかと思った。
いや、抱きしめられるっていうより、なんか襲われてるみたいな……。
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