42 / 241

10-2

「あわわったっ巽さっおかえりなさい!」 部屋の隅にどさっと荷物を下ろした巽は無表情で俺を見下ろした。 やばーーーーい。 怒ってる、かも。 そりゃー、そーだよね、疲れて帰ってきたら自分のベッドでぐーすか寝てんだもん、俺でもいらっとするよ、うん。 「えっと」 「カレー作ったのか、お前」 「えっ? あっうん! 巽さん帰ってきたら一緒に食べよーと思って!」 「……へぇ」 あ、あれ? なんか反応薄くね? やっぱ怒ってる? てか、まさかカレー嫌いとか? え、そんな人存在するの? ハヤシライスだめって奴は知ってるけど、カレー嫌いな奴、俺、会ったことないんだけど、巽、まさかそーなの? それともシチュー派? 「あ、えっと、あ、暗いからカーテン閉めて電気点けなきゃだよね!」 なんか喋らないと、なんかしないと間が保たないと思った俺、ベッドから大慌てで立ち上がって窓辺に駆け寄った、あ、そーいえばちょっと開けてたっけ、道理でちょっと寒い気が、し、 「わ!?」 俺はびっくりした。 いきなり背後から巽に抱きしめられて心臓が止まるかと思った。 いや、抱きしめられるっていうより、なんか襲われてるみたいな……。

ともだちにシェアしよう!