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15-誕生日!
「ちっ遅刻しましたぁっっ」
七月上旬、わいわいざわざわな休日の街中で巽と待ち合わせ。
今日はピンクのコンバースで走りやすかったけど、やっぱ遅刻した俺、駅前広場の植え込み前で座らず立っていた巽の真ん前に到着するのと同時に、はいっ、一礼!
「すみませぇん!!」
「次から約束ある日は俺の部屋に前乗りしとくか、コーイチ」
うわーそれもそれで楽しそ!
ん、いやいや!?
おっそくまで夜更かししちゃって当日ウトウト必須だろ!
「あのですね、どーしても着ていくモンとか靴とかバッグに迷っちゃってですね」
「前日に決めてねぇのか」
決めてるよー!
でもいざ着てみたら、なんか違うなー、なんだかなー、こっちの色の方が合ってんじゃねーかなー、じゃあバッグも変えたほうがいーかなー。
なーんて。
毎回迷っちゃうんですよねー。
「かわい? この白ワンピ似合う?」
「行くぞ」
「ううう。やっぱそこスル―ですか」
「お前の希望通り焼肉予約したからな」
「あっ昼ごはん焼肉っ!? やったぁ! わぁい!」
いつも通りスル―されたことも忘れて喜ぶ俺に巽は言った。
「お前の誕生日だからな」
今日一日、我侭し放題、許可してやる。
差し出された大人っぽい筋張った手。
俺、ぎゅーーーって、握手した。
「握手じゃねぇよ」
「テヘヘ」
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