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28-パラレル番外編★シンデレラぱろ!!

「え、魔法使いさん、いっしょ来てくれないの!?」 今宵は舞踏会。 キラキライケメン王子に見初められるため一段と着飾ったプリンセスらがライバル心剥き出しにして城に集い始めた頃。 石畳の街並みは夕闇に浸されかけて。 薄れかけた西日にイヤリングやネックレスを煌めかせ、自分によく似合ったドレスを身に纏ったコーイチは。 「コーイチ、ヘマするんじゃねぇぞ」 カボチャの馬車を背後に従えた魔法使いと向かい合っていた。 「いっしょ来てよぉ」 「めんどくせぇよ」 「ひでぇ」 「俺が教え込んだテーブルマナー、ダンスのステップ、忘れてねぇだろうな?」 「お、覚えてっし、ちょっとだけ」 何から何まで魔法使いが揃えた衣装一式を見事に着こなしたコーイチがそう言えば、当の黒装束の魔法使いは小さく笑った。 「ちょっとだけ、かよ」 「……ほんと来ないの?」 「早く馬車に乗れ、いい時間帯だ、ちょっとばっかし遅刻した方が人目を引いてアピールできる……っと、危ねぇ、俺としたことが見逃すところだった」 キョトンしているコーイチの前で魔法使いはすっと跪いた。 懐から取り出されたのは夢のように美しいガラスの靴。 コーイチが履きっぱなしにしていたボロボロの靴を脱がして、するり、意外にも履き心地のいい華奢なピンヒールを靴屋の店員さながらに履かせてやった。 「わぁ」 「どうせなら王子より王を虜にするってのもアリかもな、第二夫人、寵愛されて贅沢三昧だ」 「マジでっ?」 履き慣れないピンヒールでよろよろしているコーイチの手をとり、ふかふかクッションが用意された馬車内部へとエスコートする。 「これで屋根裏部屋でのヒモジイ生活からおさらばできるな」 「うん」 「じゃあな」 「うん、魔法使いさん、今までありが……」 コーイチのお礼の言葉は走り出した馬車のノイズに掻き消された。 窓を目一杯開いて身を乗り出せば見送る魔法使いの姿が確認できた。 角を曲がって視界から消え失せるまでコーイチは手を振り続けた……。

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