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11-パラレル番外編★異世界trip!
俺、コーイチ、高校生です。
学校の階段で足踏み外して落っこちた先は異世界でした。
そこはびみょ~なハリウッド映画に出てきそ~な、近未来なのか大昔なのかよくわかんね~設定っぽいところで。
和洋折衷? インチキ中華風? が、ごちゃまぜになったみたいなあやしげな街を制服姿でかたっぽ裸足でウロウロしていたら。
いわゆる人攫いwwwwwwってやつに攫われてwwwww
奴隷として変態金持ちに売り飛ばされてorz
「はぁはぁはぁはぁ」
ふわふわぶりぶりなドレス着用無理強いされて、馬車に乗せられて、今、変態チビデブ金持ちにほっぺたナデナデされている最中です、スミマセン、馬車酔い+変態酔いでゲーしそーです。
豪華馬車は変態金持ちが治める街を目指して広い広い荒野を進む。
俺、どうなっちゃうんだろ。
涙も引っ込むくらいに希望の見えない悲惨な現状、きらきらふかふかした豪華馬車の中でぼーぜんとしていた俺ですが。
急に外が騒がしくなった。
怒鳴り声とか、え? 花火? 誰か花火してんの?
え、まさかこれって、いわゆる銃声?
誰かがテンションあがって花火してんじゃなくって?
「盗賊だーーーーーー!!」
誰かが悲鳴じみた声でそう叫ぶのが聞こえた。
盗賊、マジですか、そうですか。
俺、もしかして死にますか?
五分後、実際、俺は死にかけた。
俺が乗せられてた馬車の前後にはカンジわるーい金持ちのSPがついていた、でも盗賊にみーんなやられたよーだ、銃声、悲鳴、銃声、悲鳴、恐怖のリピートにぶっちゃけちびりそーでした。
しかも、御者って言われていた馬車の運転手までやられたっぽくて。
自分を守ってくれる盾がいなくなって、暴走する馬車にびびって、変態金持ちは大慌てで外に飛び出して。
手錠をされていた俺は飛び出すタイミングが掴めなくって、そんな俺を乗せたまま、馬車は……横転。
あ、骨折れた。
ぜったい折れた。
腕の骨が折れた、これ。
「痛いよー……」
いろんなとこ打ちつけて、体中痛くて、でもやっぱ涙も出なくて、俺、横転した馬車の隅っこで丸まっていた。
このまま死ぬんだ、って、そうぼんやり思っていたら。
扉の開かれる音。
薄暗かった馬車の中に差し込んだ光。
眩しくて、丸まったまま目をぎゅっと瞑っていた俺に、誰かが触れた。
「大丈夫か」
ふぇ……誰だろ?
変態金持ちじゃない、SPでもない、こんな優しい声、誰もかけてくんなかった。
体中痛くて返事ができずにいる俺をその人はゆっくり抱き上げて。
ばかでかい車輪が横転した勢いでくるくる回り続けている馬車から助け出してくれた。
薄目がちに見上げてみればターバンみたいな布でぐるぐる巻きにされた顔。
唯一、外気に曝されていた鋭い双眸と目が合った。
かっこいい。
乙女みたいな胸きゅん感に痺れつつ、俺は、そこで気を失った。
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