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14-2
「歌わないの?」
「そっちが先に歌えよ」
「えー照れるなぁ」
「……バカか」
「あっ!」
「何だよ、いきなり」
「もっかい! 今の、もっかい言って、巽さんっ」
「……バカか」
きゅーーーーーーーーん!!
オトナ巽より低くなくて甘みがあって、な、なんかカワイイ。
オトナ巽は頭よくて勘が鋭くて、俺のことなんかなーんでもお見通しで。
どこでもいつでも甘やかしてくれた。
でも、この巽は。
「近ぇよ」
少人数用の狭いカラオケボックス、照明落として薄暗くした室内。
ソファで隣り合って座っていた巽、俺がぴったりくっつくと、ぼそっとそんな言葉を。
でも反対側に逃げようとはしない。
つまり。
嫌じゃない。
ってこと。
「ねー巽さん」
「思ったんだけど、さん付け、変だろ」
「テヘヘ、じゃあ、巽?」
「……」
「ねー巽……ちゅーしてもい?」
俺は巽の片腕に顎をくっつけてその顔を上目遣いに覗き込んでみた。
あ。
あの巽が、て、て、照れてらっしゃる。
マ、マ、マジですか。
そんな、一度もオトナ巽がしたことないよーな顔されたら、俺……。
「……ン」
「ッ」
デヘヘ、ちゅーしたった。
「なにすんだよ」
「やだった?」
「さぁ」
「もっかいしてい?」
うわっ、巽が赤くなってる、うそやだ、うそやだーーー!
コレもう我慢できません。
発情しまくりな俺は巽のお膝によいしょっと乗っかった、巽はぎょっとしている、あーかわい、この巽はやたら俺の母性本能をくすぐるなー、ん、男に母性本能って変かな、まー女装男子にならちょこっとくらいあるでしょ。
「ちゅーしよ……?」
隣り合う部屋や通路から音楽が流れてくる中、俺は高校生巽に二度目のキスをした。
はぁ、巽ぃ。
「……はぁ……俺、急にこんなとこ来てどうなるかと思ったけど、巽に会えてよかったよー。今の巽には意味わかんないと思うけどさ」
「……」
「はぁ、ごろごろ……でも俺どうなんのかなー戻れんのかなー」
「さっきから、なんで、俺?」
「ふぇっ?」
「そういうのが女子校とかで今流行ってんのか?」
えっっっっっっっ。
あれあれあれあれ?
「た、巽、ほら、だって、ねっ?」
「?」
「またー! 気づいてるくせ! 前だって一発で俺のこと見抜いたじゃん?」
「前?」
あ、そっか、ここは過去世界だった。
「俺、男だよ?」
「っっっっっっっ」
俺の言葉を聞いた巽は驚きのリアクションをした直後に。
自分の口元を片手でゴシゴシ……した。
ガーーーーーーーーーーーーン
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