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16-夏休み!!
「巽さーん」
「遅ぇ、走ってきやがれ、ノロマ」
「走りづらいんだよー、ほらっ見てっこのピンヒール!」
「それで俺の足踏むんじゃねぇぞ」
夏休み、巽とデート、今夜はお泊り、てか連泊予定。
あああああ、ほんっっとう、ど放任主義の両親もって幸せです!!
午後に巽と待ち合わせしてアクション映画見に行って、ばんごはんにカレー食べて、ちょっと郊外まで出てぶらぶらぐるぐるドライブ。
まーありきたりな王道デートコースってとこか。
でもそれが一番すっげー楽しい!
「映画おもしろかったー! あのヒロインの人、おっぱいでかかったね!」
「そうだな」
「カレー、おいしかったー! インド人の人がつくってたね!」
「パキスタンだと思うがな」
今日一日分の他愛ない感想に、巽、片言だけどハンドルを器用に切りながらちゃんと返事してくれる。
運転中の巽、かっけぇーです。
その横顔、たまんないです。
赤信号で停まったワーゲン。
ちょっと一息ついて両腕をぐーんと伸ばしていたら。
「コーイチ」
「えっ? んっ!」
運転席から身を乗り出した巽にぶちゅってキスされた。
青信号になると、そのまま何事もなかったみたいに運転を再開させる巽。
……なにこの体育教師、えろすぎます。
それにしても……郊外だから?
なんかやたらどでかいラブホがちらほら目につく。
俺、これまでいっぱい巽とえっちしてきたけど、なんか妙に意識しちゃって、会話は不自然に途切れて車内はシーン、この静寂、心臓にクル。
あー、でも、えー、うん、早く帰ってシたいな。
特に期限つけてないお泊りだし、焦ることねーんだけど。
今日は巽といっぱいえっちしたい気分……って、いつものことか、テヘヘ。
「えろいことでも考えてんのか、コーイチ」
「え゛っっ」
ラブホのけばいネオンでピンク色に染まった指先を意味もなく見つめていた俺、慌てて顔を上げた。
巽は前方直視したまま、ハンドルに長い指を絡め、国道の緩やかなカーブを切って。
「帰ったらお前の妄想叶えてやる、コーイチ」
……ちょっとちょっとちょっと、ほんっとう勘弁してください、えろい、えろ鋭すぎる、このひと。
……どうしよ、冷房効いて涼しいのに、興奮して汗とまんない。
……汗とまんね~~~!!
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