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ワンピ着たまま、シュシュつけたまま、一気に頭っからずぶ濡れになった。
なんもいえねぇ状態でただただぽっかーんと突っ立っていたら。
巽のやつ、笑いやがった。
「お前、マスカラ」
「あ!!」
さすがのウォータープルーフでも全開シャワーには勝てない、カレー食べたあとにつけ直したグロスも落ちて、なんかもー、悲惨極まりない姿になった。
「ひっひどいよっ!ひでーっ!」
「お前がシャワー浴びたいって言ったんだろうが」
「!! ……っこんなの、いじめじゃん!!」
「いじめ?」
俺と同じく服を着たままの巽もどんどんずぶ濡れになっていく。
泣きそうになっている俺の顔を両手で持ち上げ、支えて。
俺も巽も豪雨に見舞われたみたいに上から下までびしょびしょに。
「そうだな、寝ないで朝までいじめてやるよ、お前のこと」
びしょびしょの中、キスされた。
ぬるま湯のシャワーを浴びながら、たっぷり、キスされた。
口内に入り込んできたシャワーが唾液といっしょに、下あごへ、延々と流れ落ちていく。
息ができなくなって、ちょっと苦しくて、ぎゅって抱きついたら、呼吸しやすいよう、巽は角度を変えて、でももっと深く俺にキスしてきた。
ちゅぷちゅぷ、ぷちゃぷちゃ、動き回る舌先が小さな水音を立てる。
いつもより熱く感じる巽の唇。
えろやらしい舌遣いで俺の口んなか、奥まで、犯してる。
キスが一端終わる頃には、俺、すっかり発情モード。
さっきよりも加速のついた興奮状態で巽を見つめた。
「あ、朝まで……俺のこと、いじめてくれる?」
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