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「男から出るなんて話、聞いたことねぇぞ」
「びょ、病気かなぁ?」
「さぁな。孕み男子ってのが極少数ながらもいるって話は聞くけどな」
「はらみ? お肉の?」
「……なんでもねぇ。にしても。いつから出るようになったんだ。この間は一滴だって出なかったじゃねぇか」
この間、は、先週末のことだ、まーつまり最後にえっちした日です、ハイ。
「昨日の夜に初めて出た、です」
「昨夜かよ? どんなタイミングで。気づいたら服が濡れてたのか?」
「……えーっと……その」
「ヌいてる時か、その様子だと」
す、鋭い、この体育教師の前だと俺一生ウソつけないかも。
「つまり身体的に興奮すると出るわけか」
「……みたい」
「今は」
「ほぇっ?」
「今。出てねぇのか」
た、多分出てないよな、これ……そんな違和感ないし……てか今まで出たことなかったから自ずと把握できません!
なに、おっぱいが漏れることってあんの!?
気づいたらシャツがグッショリでしたーとかあんの!?
「あるらしいぞ」
「えっ……あ、そーなんだぁ……へぇ……」
「見せろ」
「えっ?」
「お前から出るなんてこの目で見ないことには信じられねぇ」
確かにその通りだ。
ちなみに今日はファーつきモッズコートにチェックのネルシャツ、めちゃくちゃミニのデニムに黒ニーソ、合わせてきた。
……な、何だろう。
……妙に恥ずかしーんですけど。
……いつも巽に脱がされてっから、自分から脱ぐって、あんまりねーから。
「俺に脱がされてぇのか、コーイチ」
「じ、自分で脱ぐし……!」
ぷち、ぷち、ぷち、ぷち。
ボタンを外す手が微妙に震えている。
巽にヒかれたらどうしよう。
男なのに、おっぱい出るなんて、ひ、非常識だし……(?)
好きで出してるわけじゃねーけど。
あれ、なんか、すげー怖くなってきた……。
「震え過ぎだろ、お前」
残り一つのボタン、なかなか外せなくて悪戦苦闘していたら、そばへやってきた巽が外してくれた。
「正直な」
「ほぇ……?」
「何寝惚けたこと抜かしてんだって呆れてたんだよ」
「……うん」
「でもな。今のお前を見て、わかった。本当のコトだってな。疑って悪かった」
……た、た、巽ぃぃぃぃぃ……好きぃ……。
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