「自主制作映画流してまーす」 「焼き立てワッフルありまーす！」 「三時から体育館でライブやるので来てくださーい！」 はぁぁぁぁ～～いいにお～～い。 さすが女子高文化祭、どこを向いても女子、女子、女子、ふんわり優しくてあま〜～い、いいにお～～い、天国みた～い。 もちろん女子だけじゃない、俺みたいに遊びにきてるお客さんもいっぱいいる。 そうです、俺、巽が勤務してる女子高の文化祭に来てます。 ちなみに巽にはナイショだ。 そもそも文化祭の日程、巽から聞いたわけじゃない。 クラスの友達から「あそこの女子高、今度の土曜、文化祭だって、行かね？」って言われて「行かねー」ってその場では答えといて、こっそり一人で覗いてみようと思ったワケです。 巽がどんな感じで先生やってるのか見てみたかったんだ。 でも、なっかなか見つからない、どこいんだろ、やっぱ体育館辺りかな？ 「すみませーん、クッキー買いませんかぁ？」 「あっ！　買う！」 実は、ぶっちゃけですね、ありとあらゆる女子に目がいっちゃって。 前に来た時は放課後で校舎に人気自体なかったし。 ふっつーに女子高文化祭満喫してる感、満載です、今の俺。 女装、は、してる、念のため(?)。 カワイイから寒いの我慢して着ました、ゆるっと系なチャコールグレーの肩出しニットワンピ、足元はレザーのブラックニーハイブーツでビシッと決めて、うう、がら空き太腿まじで寒ぃ！ 買ったばっかのクッキー、ラッピングのリボンを解いてポリポリかじりながら、浮かれ気味にカッツンきょろきょろ。 「今から講堂でダンス部発表やりまーす！」 え、ダンス部？　なんかカワイイコいそう、行ってみよっかなデヘヘ！ 本来の目的をすっかり忘れてフラフラ講堂へ行きかけた俺でしたが。 「すみませんっ、生徒会の者なんですけど、ちょっといいですか？」 「ふぇっ？」 「いきなりなんですけど」 ミスコン出てもらえませんか？ 生徒会主催のミスコン大会、出場者が少ないんです！ ちょっとだけでいいので、ちょっと、ちょっとだけ、出てもらえませんかっ？ 「えぇぇぇえ？」 いや、まずいでしょ、女装男子大会ならまだしも、ミスコンってやばいでしょ、男ってばれたら袋叩き合うっしょ。　 「いやいや、ミスコンだなんて、そんな」 「いやいやいやいや、ぶっちゃけ立候補で出てるコよりカワイイですよ！」 うわ、女子にカワイイって言われると素直にめちゃくちゃ嬉しいんですけど！ 「テヘヘ、じゃあ、ちょこっとだけなら」 ちょこっとだけ、の、はずだった、んですが。 「みなさんの投票で決勝に勝ち進んだ美令ちゃんと園ポンさんと佐藤(偽名)さんです！！」