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ぽかぽか行楽日和の日曜日、巽の運転するワーゲンで郊外の動植物園へ家族三人でお出かけした。
「あれ、にゃぁに?」
「レッサーパンダだ」
「あれ、にゃに?」
「フラミンゴだ」
「たっ巽さんっあれは? あれ何だろっ?」
「……アライグマもわからねぇのか、お前」
ダンナ様冷て~、カキ氷みたーい、頭の奥がツーンってしちゃう(涙)。
「あっこらっ一人でまた勝手にどっか行くな、小市!」
「べー」
「ほら、抱っこしてやる、小市」
「たちゅみ(*´∇`*)」
「た、巽さん、えっと」
「俺も抱っこして、とか言うなよ、コーイチ」
牽制された……さすが鋭い体育教師。
でもほんと、もうちょっと俺にも構ってほしいな。
こんな場所で考えるのも何だけど、あれなんです、俺と巽、ご無沙汰なんです。
丸一日求めてきたことだってあった、あの体育教師が、今現在アッチはまさかの沈黙ぶりなんです。
……俺、魅力なくなっちゃったのかな?
……今日もばっちりメークしてキメキメ女装だけど、もうどれが新品だとか言われなくなったし、ていうかあんまり見られてない……?
巽、俺のこと眼中にない……?
これが世に言うセックスレスってやつですか。
「コーイチ」
「えっ!」
「零してるぞ、サンドイッチの具」
「あわわわわ」
施設内の広場でレジャーシートを広げてお弁当食べていた俺、考える余り卵をボロボロ膝に落としていた、鳩に狙われてる、あいつら目つきが怖い。
「はとぽっぽ」
「そうだな、鳩、近所の公園にもいるな」
「あれはー?」
「誰かが連れてきた迷子のチワワだな」
「あれはー?」
「孫をあやすのに疲れて昼寝している年配男性だ」
「あれならわかるーらぶらぶかっぷる」
「指差すな、マナー違反だ」
小市のちっちゃい人差し指を巽の男前な手が覆い隠す。
小市はきゃっきゃ笑ってパパの指にじゃれつく。
巽も笑って小市のちっちゃな頭をゆっくり撫でる。
……あ、しゃーわせ。
……うん、これで十分、むしろ有り余る。
「ママ、へーん、ひとりでにやにや、ぶーす」
「はいはい、ママはブスですよー、小市もブスですよー」
「にゃー!」
コチョコチョ攻撃してやったら小市は笑い転げた、ふにゃふにゃしていてあったかい、おなかに顔をくっつけたら日向の匂いがした。
「ママ―ママー」
んで、ちょっとあまい、しゃーわせの匂い。
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