122 / 241

26-2

金曜日の昼下がり、マンションの近くにある公園まで小市を連れていった。 砂場で穴を掘るのに夢中になってる小市、我が子ながら意味不明だ。 そんな小市の穴掘りショーをすぐそばにちょこんと座って見物している子どもがいた。 「あなほり、あなほり(*´∇`*)」 「いっぱい掘れた?」 「もうちょっとでブラジルにとどきそー」 「ぶらじる。すごい」 おばかな小市に付き合ってくれてる、女の子みたいな、眼鏡をかけたかわいい子ども。 「小市君、元気いっぱいだね」 俺はその子どものママとベンチに並んで座っていた。 「元気過ぎてしょっちゅうモンスター化してっけど。ミサくんはかわいーし、かしこそーだし、お行儀よさそ」 「うん」 いやー世の中って不思議だらけだよな。 世界的に極少数だっていう孕み男子が同じマンションに住んでて、しかもお隣さん同士なんて、何があるかわかんないよなー。 しかもタメだからすぐ友達なったし、ちょっと変わってっけど、色々情報交換できてすげー心強い。 「ママーーー」 「げ! その変な虫捨ててこいッ!」 「ミサちゃんもおれと動物園いくの」 「へ?」 「おれといっしょにパオーンとウホウホみるの」 「それ象さんとゴリラか?」 そっかー、いーかも、ダブルデートならぬダブル家族お出かけ。 「三里、ほんとさ、次の日曜日動物園一緒行こーよ!」 ミサくんと小市の頭をよしよし撫でていた三里は「行く」とこっくり頷いた。 いやー世の中ってほんと不思議だよな。 三里のダンナ様も体育教師でバスケの部活顧問って、どーいう偶然だ、コレ。 ところがどっこい。 「げ……げほッ」 日曜日、熱出ちゃいました、俺。 それまで余裕で健康だったのにイベントに限って体調崩す可哀想な奴っているよねー、そうです、俺です……! 「38.5度か」 体温計を確認した巽、リュックサックを背負った小市を背負ってる、ちょっとウケるけど今笑ったら喉がヤられそ。 「た、巽さん……行ってきていーよ……? 三里とも約束したし、準備してるだろーから……小市だって楽しみにしてたもんなー?」 「うん」 正直な小市にベッドに入って冷えピタ状態の俺は笑った。 そんな小市をあやしながら巽は言う。 「体調管理、なってねぇぞ、コーイチ」 つ……つめた……冷えピタより効果あるわ、ダンナ様……。

ともだちにシェアしよう!