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マスクして何とか玄関まで見送りに行って、通路にいた三里と、隣にいたダンナ様と、抱っこされていたミサくんに挨拶して、謝って、手を振って送り出して。
俺はそのままベッドにバタンキュー。
はぁ、巽のばーか。
「ばーか、ばーか……ば……か……zzzzz」
朦朧とした意識の中、俺、すぐに寝ちゃった。
で、どれくらい寝たんだろーか。
物音で目が覚めて、ベッドの中でもぞもぞ、携帯とって時間を確認しようとしていた、ら。
「゜゜(´O`)°゜」
ぼすん、背中に衝撃を食らったかと思えば、わんわん泣く声がフルボリュームで部屋中に響き渡った。
「ママー゜゜(´O`)°゜」
「え、小市……? 俺、そんな寝てた……? へっ?」
携帯を覗き込み、みんなを送り出してから一時間も経っていないことがわかって、俺は首を傾げた。
もぞりと頭を上げれば布団越しに俺の背中にしがみついて泣いている小市、発見。
相変わらずリュックを背負ったまんまだ、重たそ、外してやんないと。
「ほら、小市……ゲホ……重いだろ」
「ママー、ママー(ノ_<。)」
「はいはい、ママはここですよー……つーか、どしたの、お前……パオーンさんにウホウホさん、見にいったんじゃねーの……?」
「小市が帰りたいって、急に、な」
寝室に巽が入ってきた。
もたもたしていた俺の前で、リュックを背負ったままの小市をひょいっと抱き上げ、うーうーしている我が子をあやす。
「巽さん」
「お前が死ぬんじゃないかって、動物園着く前に愚図り始めた」
「あちゃー……三里に迷惑かけちゃったよ……」
「ううん、全然平気、コーイチ君、お邪魔します」
我が家の完全プライベートなる寝室に平然とお邪魔してくれちゃった三里。
「具合、どう?」
「どうって……まだ一時間しか経ってねーし……変わらず、です」
お隣さん三里は巽の腕の中で相変わらずうーうーな小市をそっと撫でた。
「小市君、小市君。よかったら今日一日、僕のところでミサと一緒に過ごさない?」
「え……三里、さすがにそれは悪い……ゲホ」
「おじゃまします(*´∇`。*)」
「こ、こら……小市ってば……」
あんまりにも図々しいだろうと俺が恐縮していたら。
「……ウチのミサも遊びたがっているので。お構いなく」
大人しいミサくんを抱っこした三里のダンナ様まで寝室にのっそり入ってきた、うーん、やっぱどっかズレてんな、このごふーふ。
俺はお隣さんごふーふのご厚意ってやつに甘えさせてもらうことにした。
小市を預かってもらい、ベッドでのんびり……いや、体調回復のためしんみり休ませてもらった。
「コーイチ、服」
「ふぇ……?」
「着替えろ」
あー。確かに。汗かいてた。
体にパジャマはっついて気持ち悪ぃ。
「……え、あれ?」
自分でパジャマのボタン、もたもた外そうとしてたら、巽がプチプチ外してくれた。
「何か食えそうか」
「あ……ううん、今はいーや」
「ポカリ飲んどけ。ほら」
や、や、優しぃぃぃ、ダンナ様優しぃぃぃ。
「どうした、目ぇ潤んでんぞ。苦しいのか?」
「ち、違います」
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