土曜日、昼下がり、人でいっぱいの街。 「映画までまだ時間あるからアイス食べよー！」 俺がすげー見たかったアクション映画を観に、シネコンが入った複合施設に巽と遊びに来た。 チケットはもう買ったし、中央真ん中、ベストポジション！ 後一時間くらいあるからまぁまぁのんびりできる！ 「ハロウィン限定のがまだ残ってる！」 「もう過ぎてるじゃねぇか、ハロウィン限定って言えるのか、それ」 「でもいつも食べてるやつも食べたいな～どうすっかな～」 「ダブルにすりゃあいいだろ」 「いいの！？」 男前な体でさっぱりシンプルな服をかっこよく着こなした巽。 待ち合わせ場所で会ったときから、俺、その腕にひっついてます。 外でこーして会うの、久々なもんで、ハイ。 ウィンターカップ出場が決まる予選会が先週あって、その日までバスケの部活指導が急がしくて。 遠征なんかもあったりして、最近、全っ然会えなくて。 俺、かんっぜんテンションあがってます。 試合は決勝で僅差で負けちゃって全国には行けないらしーけど。 巽が常日頃から心血じゃーじゃー注いでっから行ってほしかった気もすっけど、神様ごめんなさい、俺、ぶっちゃけほっとしてる部分もあります。 「垂れてんぞ、コーイチ」 「あ、ほんとだー、テヘヘ」 「テヘヘじゃねぇ、ちゃんと拭け」 こーして巽と遊べっから、テヘヘ！ 「相変わらずうまそうに食うな」 壁際のテーブルでレギュラーダブルのアイスクリームを食べる俺、向かい側で自分は食べずに眺めてる巽。 ほんとは隣行きてー、くっついてゴロゴロしながら食いてー。 でも、うん、今日はお泊まりだから。 激イチャつくのは夜までとっておきましょー。 「えろい顔で見るんじゃねぇ」 「ぶはあッッ」 今日は久々に外で遊ぶからオフホワイトのゆるニットワンピおろして、グレーのニーソに、今いっちばんお気に入りの靴、合わせた。 誕生日に巽にプレゼントしてもらった靴。 オールシーズン使えるピンヒールのパンプス。 お気に入りだけど大切にして、今日で履くのまだ二回目、でもそんなに痛くない、やっぱイイ物は違うな～。 ん、誕生日かぁ。 そういえば巽の誕生日っていつだっけ？ 「巽さんって誕生日いつ？」 二種類のアイスクリームをスプーンにいっしょに乗っけて口ん中に放り込んで聞いてみたら。 「今日だ」 ごっっっくん、ろくに味わえずに喉の奥へ落っこちて行ったキャラメルリボンとピスタチオスクリーム。