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呆気にとられてた巽を置いて女子高を出、冷たい風にタイツ足ゾクゾクさせて帰っていたら、メールがきた。
<今日、泊まれ、ウチに来い>
そのまま巽んちに向かって、合鍵でお邪魔して、お腹空いてたからコンビニで買った肉まん食べて、巽んちに常備してる自分の部屋着に着替えて、メーク落としで顔スッキリさせて、ごろごろごろごろしていたら、寝不足だったせいか、爆睡して。
「おい」
「っ……うわぁああぁ、どろぼーーー!!!!」
「自宅に泥棒に入るバカがいるか」
あ、ビックリした。
うわ、もう七時過ぎてる。
げ、ヨダレが。
「ん?」
クッションをゴシゴシしていたら紙袋を差し出された、へっ、これなーに? おみやげっ!?
「お前に似合いそうなコスプレだ」
「え!?」
「サンタの」
うっっわ。
きっと太腿丸出しの激ミニどすけべなサンタコスだ、やらし、巽やらしー!
「やらしー!」
「着替えてこいよ」
「あ、じゃあちょっとメークしよっかな」
「は?」
「だってスッピンじゃ似合わないっしょ?」
「むしろスッピン向けだと思うがな」
スッピン向け太腿丸出しの激ミニどすけべなサンタコス? そんなん存在する?
いやーまさかね。
「……巽さん、これ、ガチのサンタコスじゃん」
「サンタだって言っただろうが」
それはそーなんですけど。
女子向けじゃない、上下もちろん赤で、白いもこもこつきで、ベルトがあって、ズボンで、帽子、邪魔くせーヒゲ、うん、ガチのサンタさんコスプレだ。
「てっきり女子モノかと」
「ちょっとでけぇな」
床にあぐらをかいた、ジャージ着たままの巽のお膝上に案内されて、居心地いい場所にヨイショって落ち着いた。
「ヒゲ、外してい? 口に入ってマズイ」
俺がそう言えばマジックテープ仕様のヒゲ、巽が外してくれた。
「悪かった、コーイチ」
俺は何度も両目パチパチ。
「しょうもねぇコト、お前に抜かした」
「しょうもねぇ?」
「ああ。自分自身にイライラして腹が立って、つい、な」
「ほえ~」
「ほえ~じゃねぇよ、他人事みてぇに。てめぇのせいだろうが」
「ほえ~?」
「……。その場でハッキリ言やぁ済んだものを。三十分も言うか言うまいかダラダラ迷って、みっともねぇ、自分で自分が嫌になった」
「俺、ばかな自分のこと、しょっちゅうイヤんなるけど?」
巽は笑った。
「強ぇな、コーイチ」
俺はあんな思い、初めてだった。
どうしようもねぇ自分に腹が立ってペースを乱されるなんて経験なかった。
「お前は俺を引っ掻き回す天才だな」
「巽さん」
「弱い俺のこと捨てないでくれよ」
俺は巽をぎゅーーーーってした。
「巽ぃ」
うん、うん、捨てない、離さない。
すっごく強いけどちょこっとだけ弱い巽のこと、俺、もっともっともっともっと好きになったから。
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