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「ねー、お金儲けに興味ない!?」 待ち合わせ場所に小走りで向かっていたコーイチはぎょっとした。 シフォンワンピのふわふわ裾をなびかせて太腿チラ見せ、グレーのニーソに赤パンプス、新作コスメに彩られたそのフェイス。 つまりはキメキメ完全女装。 そんなコーイチの手首をいきなり後ろから引っ掴んだ通行人がいた。 一見して極普通のカジュアル系お兄さんだ。 しかし極普通のお兄さんが一見してカワユイ赤の他人なる女子の手首をいきなり引っ掴んだりすることはない。 「君、かわいいね! 君だったら月にかるーく百万稼げるよ!」 げ、風俗かAVの勧誘だ、コレ。 女装すんの三回目だけど、もう来ちゃいますか、目ぇつけられちゃいましたか。 「あははぁ……いえ~~……結構、です」 「そんなこと言わないでさ! ちょっとその辺の店でお話しようよ!」 うわぁ、この人普通っぽいのに握力半端ねー! ゴリラみたい!! 「頑張れば三百万はいける!!」 「あ~もう……あのですね、俺、男ですから」 「え!?」 「じゃ、さよなら~……って、あれ!? なんで力強めてんの!? お兄さんやっぱゴリラ!? 実はゴリラ!?」 「男? 本当? イイネ!! 男の娘モノに引っ張りだこ確実じゃない!!」 「ええええ」 「こうなったら本格的に契約手続きだ、あそこのワゴンで!」 「ひー! いかにも怪しいワゴン!! 窓ガラスぜんぶ真っ黒!!」 フル握力のお兄さん、嫌がるコーイチを笑顔でずるずる引っ張って路上駐車されたフルスモークのワゴンへ向かう。 やばい! これ絶対! アウトぉぉぉぉ……………………お? 「てめぇ何やってんだよ、クソコーイチ」 「男のくせに本当しょうもねぇな」 半泣き状態のコーイチ男子姫、素敵なイケメン騎士や爽やか王子様に助けられる……ではなく。 聞き覚えのある声がぎゃーすか喚いているのを聞きつけてやってきた、大遅刻におらおら度が増している待ち合わせ相手の兄弟にこっ酷く貶された。 半泣き半笑いのしょうもない顔で「テヘヘ」と情けなく笑った。 「まさかAV出演に興味あるなんて、てめぇ、まじクソエロ淫乱」 「ち、違うって……ね、もぉ……コレやめよぉよぉ、緒方ぁ?」 「お前のためにやってんだ、予行練習兼ねて」 「だからぁ……違うのにぃ、巽さぁん……ぅぅ」

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