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「兄弟揃ってお前らアホかッッ!!!!」
二学期の終業式があった日の夜。
女子向けランジェリーなるラブリィセクシィ小悪魔風ベビードールを乱したコーイチはぜーーはーー肩で息をしながら金切り声を。
「毎回毎回3Pなんて体持つわけねーだろッッ!!!!」
ヘロヘロになりながらもラブホのベッドでぎゃーすか喚くコーイチに。
先にボトムスを履いてトップスを着ようとしている姿が何ともエロい兄・巽、すでに着替えが完了してアウターのポケットに両手を突っ込んでいる弟・緒方は言う。
「早く服着ろ、コーイチ、置いてくぞ」
「いちいちぎゃーぎゃーうるせぇ、お前が一番体力有り余ってんじゃねーか、こっちはクソ淫乱の相手してやって疲れてんだよ」
あんまりにも素っ気ない緒方兄弟にコーイチはプッツンした。
ベッド上にあったクッションを手当たり次第ブンブン投げつけて勢いのまま宣言してやった。
「3P禁止ッ!つぅかエロいこと全般禁止ッ!この冬休み二人揃って禁欲しろバーーーーカッ!」
とうとう言ってやった、おらおらえろえろ兄弟に。
思えばありえねー、兄弟いっしょの3Pなんて、どんなエロ神経し、て、ん、だ、よ!
「あんなん胃もたれするって」
冬休みが始まって数日が経過した年明け前、最寄りのファミレスでお昼を食べていた高校三年生のコーイチは膨れっ面になった。
「あ、やッば、ノートにスープこぼしちった」
ランチがてらの受験勉強、目指すは地元の私立大学だ、国立を目指す緒方も来月に迫るセンター試験に向けて独自勉強に励んでいた。
教師やってる巽さんに聞きゃあいーのに、強がってやんの。
あンのクソエロヤロー、何様だ。
男前で運動神経も頭もいーからって調子乗ってんじゃねー。
3P定着させたの、意味わかんなかったし。
それで感じまくってる自分もどーなんだろって、疑問ではあった。
ガチで兄弟揃って遠慮ねーから毎回ヘロヘロんなってシンドイのはホントだったし。
だけど、別れたかったわけじゃ、ねー。
緒方はどーなんだろ。
……まさかアイツ俺のこと完全性処理係として取り扱ってた……?
……禁欲宣言した俺はもう用ナシ? 付き合う意味ナシ?
「ッ……ライスおわかり! フライ御膳追加で!」
確かに禁欲宣言してから、緒方からなっんのフォローもない、メール一つない。
巽さんだって。
あの人、オトナだから。
他にも相手がいて、俺みたいなガキいなくたって何の不自由もしないで、なーんにも変わんねー毎日過ごしてそ。
癪だよな。
癪っていうより、なんか、さみし。
あの兄弟二人にとって俺って何だったの、テキトーなオモチャかよ、飽きたら簡単にポイできるモンだったのかよ。
色んなフライを無理してもごもご食べる、明らかに元気のないコーイチ。
満腹感に比例して胸に巣食う遣り切れなさも増した気がした。
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