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年が明けた。 二人からは相変わらず何の音沙汰もなく、コーイチはこれまでにないアンニュイな気持ちで新年を迎える羽目になった。 「むずい、わかんね」 受験勉強にも集中できずに苛立ちやら不安が日に日に蓄積されて、しかしお雑煮やおせちはしっかり食べ、ストレス解消のため常にお菓子やら残り物やらむしゃむしゃ、もぐもぐ……。 このままじゃだめな気がする。 何かもう何もかもだめだめな方向に向かってる、流れ変えねーと、どうにかしねーと。 そんなわけでコーイチは気分転換に肉まんを買いに近所のコンビニへ出かけた。 つもりだった。 しかし肉まんを買って、ふらふらふらふら、履き潰したスニーカーを引っ掛けた両足は自宅とは別方向へ、部屋着にマウンテンパーカーを羽織って雑にマフラーをぐるぐる巻きにした格好で辿り着いた先は。 緒方が住むマンション近辺だった。 冬休みが始まってから一度も会っていないクラスメートと、その兄の息遣いを無意識に求めて、やってきた。 あーあ、何やってんだろ、俺。 家を訪ねるのは癪で電柱の裏からマンション見上げつつ両手に持った冷えかけの肉まんを交互に頬張る。 寒ぃし、情けない、惨め、かわいそ。 しょーもな。 肉まん二つじゃ足んねー、もういっこ買えばよかった、帰りに買っていこ、 「「コーイチ」」 コーイチはぎょーーーーーーーっとした。 振り返れば、いつの間にやら背後で停まっていたワーゲン。 開かれた助手席側の窓から顔を出しているのは緒方で、運転席に座る巽ともバッチシ目が合った。 「何してんだよ、お前」 「えええ、えっと、肉まん、を」 「今日は女装してねぇんだな」 明らかに呆れている緒方と、小さく笑っている巽に同時に見つめられて、てんぱったコーイチは。 「肉まんあげるっっっ」 咄嗟に深々と俯いて食べかけの肉まん二つを差し出した。 「肉まんって」 「食いかけの、かよ」 緒方も巽も車から降りてきた、あわわわ、どうしようと立ち尽くすコーイチを二人は速やかに完全包囲して繁々と間近に見下ろした。 「ほんとに食っていーのかよ」 コーイチは自分より上背のある緒方を恐る恐る見上げて。 「もらっていいのか、コーイチ」 黒ダウンジャケットを羽織って男前スタイルに磨きのかかったオトナな巽にチラリと視線を送って。 「べ、別にいーよ、うん、あげる」 やたら距離を狭めてくる緒方兄弟にあせあせどきどきしつつ、そう答えたならば。 がしっっ 「ひゃっ?」 「よし。じゃあ乗れ」 「ウチ、親いんだよ、今」 「今から俺の部屋連れてくな」 「うぇぇっ?えっ?はいっ?」 問答無用、拉致られた……。

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