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33-好きな人の好きなところ十コ……余裕で言えますよねー!
もーすぐ三月、そろそろあったかくなるかな~、春物新作も出てきたし先取りしちゃうか~? なーんて思ってたら、寒ッッ、ぜんっぜん寒ッッ、素足とかむりむりむりむりッッ。
「クシュンッッ!!」
「花粉症かよ、コーイチ」
「花粉症じゃねーもん、ココが寒ぃの! 冷え過ぎ! 暖房ついてねーの!?」
「精肉コーナーで暖房ガンガン効かせられるか」
現在、日曜の昼下がり、巽んちの一番近くにあるスーパーで買い出し中。
今日の晩ごはん鍋に投入する具材を巽といっしょに選んでいた。
「イイお肉がいい! コレうまそ!」
「バカ、それはステーキ用だ」
買い物カゴを提げた巽は両手にパックを持って真剣に見比べている、車運転してるときもカレーかっこんでるときもついつい見惚れちゃうけど、デヘヘ、こーいう巽もかっこいいなぁ。
「にしても。近所のスーパー行くのに時間かけやがって。タイムセール終わっちまったじゃねぇか」
今日のアウターはチェスターコートでインナーにはキレイめ白ニット、白黒チェックのガーリー系スカート、んでロングブーツ。
土曜からお泊まりしてる巽んち出る寸前に新色グロスぬりぬりしてきたし、うん、ココだけはスプリング先取れてるハズ!
「巽さんと出かけるならどこだろーとデートだもん」
そう答えたら、それまでじーーっと肉ばっか見ていた巽にいきなりまじまじ見つめられた。
急な真顔直視は心臓に悪い、キュンキュン、照れる、勝手に顔が赤くなる。
無性に恥ずかしくなった俺は「お、お菓子見てくる!」と、一端緊急避難しようとして。
別のお客さんにぶつかっちった。
で、慌てた拍子にまた次のお客さんにぶつかっちった。
「ウロウロすんじゃねぇ、コーイチ」
見兼ねた巽にぐっと腕を掴まれて引き寄せられる。
え、てか、腰に手、ですか?
この状態だとお肉見比べられないよ?
つーかバカップルにも程があるよ?
スーパーでこんないちゃついてたら警備員さん飛んでこない?
「た、巽さん」
「後は魚介だな」
「えーと、恥ずかしいです、これ」
「俺と一緒ならどこでもデートなんだろ」
ニヤリと笑った巽、移動するときも俺の腰に手を回したまんま、ちょちょちょ、周りのちっちゃなこどもに悪影響じゃね? 店長飛んでこない!?
「これ程度で飛んでくるかよ」
「ほ、ほんと? よかった~」
「店のど真ん中でおっ始めたら駆けつけてくるだろうがな」
「ぶはッッッ」
もうやだ、このエロオトナ。
あー、でも真剣に寒ブリ選んでる巽もかっこいい……!
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