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「スープの味見してくれ」
「うんっ!うえっ!」
「……」
「あ、あ、熱い~、熱いよ~、舌火傷した~、ヒリヒリする~」
ちゅっ
「んっ!? ん、む……っん~~……っ……んぷぷっ……ンっンっンっ……ぷは!」
「これだけ応急処置してりゃあ大丈夫だろ」
「はぁはぁ……あ、ありがとうございます……?」
ただのスープの味見、ソレをここまでエロ仕立てにするなんて、怖ぇ、この体育教師。
鍋、めっちゃうまかった!!
「肉も寒ブリも豆腐もキノコも白菜も! 締めの雑炊も! ぜっんぶおいしかった~!!」
お腹いっぱいでご満悦な俺、まだ後片付けしてないダイニングテーブルにうつ伏せてゴロゴロ、ぽかぽかあったかいし眠ぃ、このままぐーぐー寝たい。
「うにゃー」
「お前、ウーロン茶で酔っ払ったのか」
俺は向かい側で缶ビールを飲んでいた巽をちらっと見て、笑った。
「お腹いっぱいであったかくて、ふわふわする、きもちいい」
「そうか」
「冬っていいね、もう春になっちゃうけど」
「そうだな」
「あ、でも春もいー、お花見、服かわいーの出るし、コート脱いで体が軽くなる」
「ふぅん」
「夏もいーよなー、海楽しーし、秋も秋でごはんおいしーし」
「春夏秋冬、満足してんだな」
テーブルにぺちゃんしていた俺は片足を伸ばして。
巽の片足にちょんと触れた。
「来年の冬も俺といっしょに鍋してね、巽さん」
がたんっっ
「えッ?ど、どしたのッ?食い過ぎて腹壊したッ?」
「壊してねぇよ」
いきなり立ち上がったかと思えば俺の真横にやってきた巽をポカーンと見上げていたら。
巽は俺とイスの間に割り込んできた。
なんか窮屈な体勢。
イスに座った巽に俺が座るみてーな。
「来年の鍋は何ベースがいい」
そ、そんな先のことまだ考えられません。
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