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「ま、待ってよぉ、つぅか消毒っ、このままだとばい菌入って死ぬっ」
「今はな、消毒液は不要、水で十分なんだよ、最新の保健室事情くらい知ってろ」
「ちょ、ちょ、ちょ……っ」
校庭の喧騒が聞こえてくる。
保健室の先生は騎馬戦で負傷者が出たため病院へ付き添い、緒方とコーイチ以外、白い室内には誰もいない。
一年、二年と連続して体育委員、バスケ部でもある緒方、怪我した生徒を連れてくることが多々あったために何がどこにあるのか、応急処置などもざっと把握していた。
こどもみたいに不安がるコーイチは一先ず丸椅子に座らせた。
床に跪き、一度水道水で流した浅い傷口に砂が残っていないか確認して、周囲の皮膚に触れてみたら。
『んっっ』
やたら過剰な反応。
しかも内股。
涙目。
チアガール女装でうるうる見つめられて『こんなときに意地悪すんなぁ……痛くしちゃやだ……』なんて言われて。
心臓の裏側が総毛立った。
躊躇する時間も惜しくて、衝動のままに、欲した。
『お、お、緒方ぁ』
丸椅子に腰かけていたコーイチを立ち上がらせて革張りの長椅子へ、今度は自分の真上に向かい合わせに座らせて、そのまま……チアガール衣装を着こなす華奢な体を抱きしめた。
え。
なにこれ。
あったかい。
きもちいー……。
じゃねぇ!!!!
「ど、ど、どした、緒方、どした!?」
「勃った」
「え゛っっ?」
「こんなコスプレしやがって。どういうつもりだ」
ど、どーいうつもりって……俺……ただ……。
「緒方のこと応援したかっただけだよ……?」
緒方は……コーイチを睨んだ。
太腿丸出しなクラスメートの女装男子を真正面から、かつてない至近距離から。
「勃った」
クラスメートの男前男子に跨っていたコーイチは赤面した。
手首を掴まれるなりジャージ越しに握らされて。
ガチ勃起を確かめるなり、ぶわあああああっ、発汗した。
「さ、さ、触らすなっ」
「触れよ」
「はあ゛!?」
「もっと、ちゃんと……」
「ひぃっっ」
その場で大胆にペニスを取り出した緒方全体からコーイチは咄嗟に顔を背けた。
「……別に見なくていい、でも逃げんな、お前のせいでこうなったんだからお前が何とかしろ」
うそだろうそでしょうそだぁ。
俺でこんなに興奮するなんて。
「お、俺……男だよ……?」
「知ってる。バカが」
直に握らされて、指に指を絡めるみたいに上から密着した、しょっちゅう髪をボサボサにしていった男っぽい大きな手。
「シコれよ」
「う、う、う……むりぃ……」
「うるせぇ」
「ふぇぇ」
やっぱ緒方って……緒方って……めっちゃデカチン……っっ。
「あ」
ど、ど、どーしよ、ぬるぬるしてきた……っデカチンの先っぽぬるぬるしてきたぁ……っ。
「お、緒方ぁ、ぬるぬるして……っ」
「ガマン汁だろ……同じ男なら知ってんだろうが」
声が。
近すぎ。
熱くて。
心臓もたない。
「もっと……先……強く」
自分より大柄な緒方に擦り寄られ、耳元で強請られて、コーイチは目を限界いっぱい見開かせた。
ぷるぷる震え出す太腿。
濡れていく掌に擦りつけられる、今にもはち切れそうな欲望が宿った熱源に、ごくりと鳴った喉。
「お……俺も……勃っちゃった……」
これまでに経験したどのセックスよりも気持ちよかった。
「お、緒方ぁ……っ緒方ぁ……」
今にも泣きそうなコーイチの震えた声、怖々と愛撫を綴る不器用な手、肩に浅く埋まる短い爪。
掌に捕らえた紛れもないペニス。
甘やかせば甘やかすほど素直に膨れていく欲望の芯。
ただ抱き合ってシコり合ってるだけなのに。
挿入もしてねぇのに。
これまでにない興奮に理性が飛びかけてる。
これが滾るってやつか。
「緒方ぁ……」
可愛い。
信じられないくらい。
猛烈に。
欲しい。
「っ……ん……っむ……っ!?」
これまでのセックスを軽くしのぐシコり合いに没頭しながら緒方はコーイチにキスした。
哀れ、初キスをクラスメートの男前男子に奪われた、童貞女装男子なのだった……。
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