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チャコールグレーの肩出しニットワンピにラメ感ありなシルバーグレーのニーソ姿で俺は巽に乗っかった。
「女装、似合う? 似合わなくなったら、どう? かわいくなくなる?」
仰向けに押し倒されて、俺に乗っかられて、別に痛くも痒くもなさそうな巽は答える。
「かわいい云々より、俺は、お前らしいお前でいてほしい」
「ふぇ……ど、どんなのが俺らしい?」
「俺の下でぐちゃぐちゃになって喘いでるのがお前らしい」
「……ひでー、茶化した」
「俺が言葉にしたら意識するだろうが、コーイチ」
「……」
「お前、俺のこと犯すつもりか」
「ふぇっ?」
ちちちちちが、違うし、そんなつもりじゃないし。
むしろべったべたに甘やかしてほしくてタックルしたっていうか……なんじゃそりゃ、俺、イライラでてんぱってんのか?
「いいぞ」
お前の好きにしてみろ、コーイチ。
お前なら何したって許してやるよ。
「好きに、って……」
どっきんどっきんどっきんどっきん
我に返れば不慣れなシチュエーション。
巽の腹に乗っかった俺の鼓動は慌ただしげに加速した。
「早くしろよ」
うえぇぇえ、何すりゃいーの?
俺わかんないよ。
そんなじっと見つめられたら心臓に穴開きそうなんですけど?
「……そんな見んな」
「は?」
「恥ずかしー、です」
「俺にのしかかっておいて恥ずかしい? 今更だろうが」
「……いじわる」
消え入りそうな俺の声に巽は低く笑うと。
しゅるりとネクタイを外した。
え、あの、巽さん?
え、うそでしょ、この人、一体何をされているのでしょーか……?
「これでいいか、コーイチ」
俺の真下で、巽、自分の目元をネクタイで覆って後頭部で器用にキュって結んだ。
まさかまさかの目隠し。
正に独り占めだ、これ。
おらおら体育教師、手に入れちゃってる。
今、完全、俺だけのもの。
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