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「お前、見るからにえろそうだな」
「そ、そんなことないですぅ……」
「バカで単純っぽいよな」
「そ、それは……あるかもですぅ……」
ひー、なにこれなにこれ、どうしよー。
お兄さん、めっちゃ近いんですけどー。
てか、肩に腕回されて、逃げんなよアピールがすごいんですけどー。
コーイチの両手にぎゅっと握り込まれたマグカップのコーヒーはすっかり温くなっていた。
腰に巻いていたカーディガンは解いて、チェックのプリーツスカートはミニ丈。
よって元から体毛が薄くてスベスベな太腿丸出し。
巽に密着されて何故か自然と内股状態。
気分はもうすっかり女子だ。
「ここで弟と今日やる予定だったのか」
「っ……ちが……違いますよぉ」
「ふぅん。でも普段やってんだろ」
コーイチの顔がぼふっと赤くなった。
頬にかかっていたサイドの髪を長い指で耳の後ろに追いやられ、巽がより真横に迫ると、緊張の余りぷるぷる唇がぶるぶるぶるぶる。
「週一か? 高校生なら週四はいくか」
「ひーん……」
「ちゃんとゴムつけてんのか」
「! ……つ、つけてますよぉ」
近い、近い、近いよぉぉ。
ちょっと待って、待ってぇ、これって……。
あ。
コーイチのぷるぷるぶるぶる唇に巽の唇が重なった。
微弱な震えを止めるように、ぴったりと。
少し乾燥した、ほのかな微熱がじんわり、じんわり、コーイチに注がれた。
……うそ。
……どうしよ、どうしよ、どうしよ。
緒方のお兄さんに、俺、キスされてる。
「むっ」
ぬるっと、舌先が。
唇の狭間をゆっくりなぞっていたかと思えば、ぬるぬるっと、口内に。
「ん、む、ん」
まっかになるコーイチ。
今度は膝上のマグカップが震え出し、残っていたコーヒーがぐらぐら波打った。
巽はお構いなしにコーイチの口内に器用な舌を這わせる。
仕舞いには自分が口に含んでいたタブレットをコーイチの舌上に。
ぴりぴりぴりぴり
些細なぴりぴり刺激に眉根を寄せてコーイチは涙目になる。
そんな反応を薄目がちに窺いつつ、巽はちっちゃなタブレットを二人の唇間で器用に行き来させる。
なにこれ、このちゅー、えっちすぎる。
よだれいっぱい出ちゃうんですけどぉ。
「……んぶ……っぁふ……ぅ」
「やっぱりえろいじゃねぇか」
「んや……っやだ……!」
咄嗟に我に返ってぷいっとそっぽを向いたコーイチ。
すると、その両手に握られていたマグカップをひょいっと取り上げ、テーブルにことんと置いた巽は。
がばりとコーイチをベッドに押し倒した。
「ひゃっ!?」
「お前から誘ったくせに今更拒否るな」
「えっ、えぇぇぇぇ!?」
「コーヒー渡したとき、てめぇ、えろいこと考えたろ」
やだーーー! お兄さん鋭すぎますからぁーーーー!
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