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38-看病しちゃうぞ!

ゴールデンウィークだ!!!! 十連休だ!!!! 遊ぶぞ!!!! 「悪い、コーイチ、明日からの予定が駄目になった」 ガーーーーーン!!!!!!!! 明日から十連休、ウハウハが止まらない金曜日の夜、巽からまさかの電話が……来やがった。 「えぇぇぇえ」 「そんなしょ気た声出すな」 「だってだってだってだって!!」 明日の土曜日はずっとずっと見たかった映画の続編、見に行く約束だったじゃんか。 何着ていこーか、おにゅーの服とか最近のお気に入りとかベッドに並べて、今、テスト勉強よりも真剣に考えてた……それなのにぃ……。 「うぇぇ……」 「こんなことくらいで泣くな」 「泣くわ!! ぎゃん泣きするわ!! うぇぇぇえん!!」 「泣き喚くな、子泣きジジィか」 なんだこいつむかつく!!!! 「……ごほッ」 え。 巽、咳してる。 そういや声もガラガラしてるような。 「巽さん、風邪引いたの?」 スマホを両手で持ち直して聞いたら、しばし無言、そしてボソリと言われた。 「ウチに来るんじゃねぇぞ、コーイチ」 「巽さん!!!!」 「来るなって言っただろうが……」 「看病しにきました!!!!」 「声がでけぇ……」 マンション角部屋で一人暮らしやってる巽の元へ、俺、突撃訪問しちゃいました。 「うつるから来るなって、あれほど……」 ゴールデンウィークの始まりにふさわしい、真っ青に晴れた空。 外出洗濯お掃除日和な土曜日、気持ちのいい爽やかな風が吹き抜けていく真っ昼間。 巽は上下スウェット、寝癖つきの黒短髪はボサボサ気味、ぼんやりした目で俺を見下ろした。 「熱あるって言っただろうが……」 どうしよう。 病気してる巽もかっこいい。 珍しく弱ってるかんじがたまんねー。 「聞いてんのか、コーイチ……ったく……今日は構えねぇからな」 突撃訪問した俺のこと、それ以上怒ることもなく、巽は中に招いてくれた。 なんだかんだ優しい巽のあと、ついていって、背中にくっつこうとしたら。 「駄目だ、くっつくな」 「だいじょーぶだよ、俺若いもん、おっさんの巽さんから風邪菌もらうわけねーもん」 「俺はまだ二十代だ、オッサンじゃねぇ」 頭、わしって掴まれて遠ざけられて、巽の手に触ってみたら、うわ、熱い、ガチの病人だ、これ。 「熱何度あるの?」 「さっき測ったら三十九度手前だった」 「どれどれ」 背伸びして巽さんのおでこ触って、自分のおでこと比べてみた、これやってみたかったんだよ! うーん、でも違いはよくわからない! 「ほんとだ、三十九度手前っぽい」 巽はテキトーなこと言った俺に苦笑して、ちょっと咳き込んで、ベッドに腰掛けた。 「出かける気満々の格好じゃねぇのか、それ」 そりゃー最初は映画行くつもりで今日のコーデ考えてたんで? 服もメークもプチプラ尽くし、大きめサイズで五分袖の白パーカートレーナーにストライプ柄のふわふわミニ丈バルーンスカート、んでコンバースざっくり合わせてきました、んでスニーカー用ソックスは早速脱いで裸足です、やっぱ楽チン裸足になれる季節さいこー。 「この格好は今日一日巽さんの看病・お世話するコーデです」 「……風邪がうつって残りの連休寝込む羽目になっても知らねぇぞ」 「おっさんの風邪菌なんか余裕で撃退するもんねーだ」 「……」 「いででででッ、暴力反対ッ、ほっぺたつねんなッ!!」

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