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「やっっ……ん、そんな、いきなし強く握んなぁ……っ」 「お前が人を煽るようなこと言うからだ」 「あっ、ちょっ、待っ、っ、あっ」 窮屈なランジェリー内に巽の手がずぼっとINしてきてコーイチは目をヒン剥かせた。 「もう濡れてんじゃねぇか。このエロ姫」 「えっ、えろ姫言うなぁ~~っ、あっ、あっ、あっ……あっ!? どこさわってんの巽さんっ!!??」 「初めてだから念入りに解しておかねぇとな」 「まっ、まじで今日最後までっ……んっ、ソコぉ、変っ……す……するのでしょーか……?」 「そのつもりだ」 ランジェリーの内側で純潔なアソコの先っぽをいぢられながら、ランジェリー越しに処女なるアッチを指腹でコスコスされて。 コーイチはおっかないながらも覚悟を決めた。 大好きな狩人の巽に自分のぜんぶを捧げようと………… ぐううううううううう~~ 「あっ」 ぐううううううううう~~ 「あああっ」 捧げようと覚悟を決めたところでコーイチのお腹がぐうぐうごおごお鳴った。 かなりの音量だったお腹の虫の音にコーイチは改めて赤面し、巽は咄嗟に顔を背けた。 「ッ……ッ……」 「た、巽さん、笑って……?」 「ッ……」 「わ、笑うなぁ~、ばかばかばかばかっ、つぅかおなかへったって言ったじゃんか~、ひどいよひどいよ~」 恥ずかしくてしゃーないコーイチは頭から毛布をかぶり、目に涙まで溜めていた巽は愛しくてしゃーない彼を毛布ごと抱きしめた。 「こ、こんな初夜ってないよ~、おなかぐーぐー鳴りながらするなんてむりだよ~」 「そうだな」 ちょっとの間をおいてコーイチは毛布からもぞもぞ顔を出した。 背中から自分をハグする巽を肩越しにちらっと見た。 「うん……それがい……そーしよ」 「困ったわがまま姫だな」 「ま、まだ心の準備が、お城から逃げ出したばっかだし……あ、あれ……た、巽さん……まださわって……?」 毛布の中に潜り込んできた巽の利き手。 探り当てたコーイチの、まだ熱を解放しきれずに堅いままのアソコを、きゅっと握り締めた。 「あんっ……ぇぇぇ……今日しないんだよね? ねっ?」 「お前のコレを元気にさせた責任はとってやる」 「い、いーです、自分でするからっ……あっ……んんっ……だめっ、ゃぁ……っ」 「俺とお前の仲だろうが、遠慮してんじゃねぇ」 「あーーー……っっっ……っ……っ……っ」 「あー、やっぱないなー、どっかで落としてきちゃったかな」 大の男達も呆気にとられるくらい酒場でガツガツ大盛り料理を食べてきたコーイチ、宿に戻るなり、部屋の中を四つん這いになって何かを探し始めた。 「どうした」 フツメン男子の格好をしたコーイチは傍らに立った巽を見上げる。 「俺のリボンどっかいっちゃった」 「リボンかよ」 「あーのーねー。できるだけ身軽でって言われてたから行商人から買い集めたメーク道具もお気に入りのドレスもぜんっぶ手離してきたんですよー」 「ふぅん」 「だから、せめて、リボンだけはとっておこうって思ったのに。あーあ」 たくさんの思い出の品々を城に置き去りにしてきたコーイチは床に座り込んでしょ気た。 そんなコーイチの背後で巽はカーキ色のロングジャケットの懐からソレを取り出した。 「え?」 コーイチはキョトンした。 真後ろに跪いた巽に長めの髪をゆっくりと結われて首を傾げた。 「巽さん、俺のリボン、拾ってくれてたの?」 「いいや、これは別のものだ」 「ふーーーん?」 巽が結い終わると、コーイチはすくっと立ち上がり、部屋の隅に置かれていた姿見で仕上がりを早速チェックした。 レースのリボンで髪を一つ結びにしたコーイチに巽は寄り添う。 「このリボンかわいい」 「お前に返しただけだ」 「?」 「もう金貨以上の特別なモンもらったからな」 お前は忘れていても。 俺にとっては永遠に色褪せない思い出だ。

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