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5-おとうとぷれい
「……お前、その格好はどうした」
日曜日の昼下がり、自宅アパートへやってきた三里の格好に阿南は眉根を寄せた。
セーラー服っぽい上着、チェックの半ズボン、オフホワイトのハイソックス。
どう見ても小学校の制服だ。
しかもご丁寧にランドセルまで背負っている。
「ちょっと窮屈なの、やっぱり目立ちますか?」
「……そういう問題じゃない」
高校生にしては小柄な三里、なので、小学校時代の制服を着ていてもそこまで違和感はない。
それが何だか却って怖い気もする。
「たまには趣向を変えてみようかなって」
「……先週、変えたばかりじゃないのか」
「あ、猫耳ですか? 先生、気に入ってくれたの?」
「……」
不機嫌そうに押し黙った阿南にまるで物怖じしない三里、ランドセルを部屋の隅に置くと、教師が着ていたパーカーの裾をきゅっと握った。
「先生のこと、今日はお兄ちゃんって呼びますね」
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