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10-5
その日の午前中は一学期の終業式だった。
「はぁっ……はぅぅぅーーーー……っっ」
午後、阿南と三里はリーズナブルなラブホでセックスしていた。
「ふふ……っ阿南君の大好きなおちんぽぉ……っこんな奥まできてる、ぅ……ッ、ひぃぃんッ」
眼鏡を外し、ネイビーの靴下しか身につけていない三里は、素っ裸の阿南からいつになく激しくグチャグチャにされていた。
その片頬には赤い痣が。
大掃除が済んでホームルームも終わり、寄り道の話で盛り上がるクラスメートを余所に、阿南は速やかに帰ろうとして。
ふと思った。
三里を昼食に誘ってみようか、と。
コンビニで立ち食いしたことはあるが二人でちゃんと食事に行ったことなど一度もない。
明日から夏休みだし、多分しばらく会わなくなるだろうから、今日くらい普通に飯食べて別れるのも、いいかもしれない。
しかし阿南が視線を向けてみれば窓際の席はすでに無人となっていた。
玄関まで行って靴を確認してみたらローファーはまだそのままであり、阿南は、急に行方知れずになったクラスメートを探してみることにした。
完璧に浮かれた生徒達の間をすり抜け、俯きがちで顔を隠しているはずのクラスメートの姿を探す。
眼鏡を外すと綺麗な顔をしているというのがわかる、友達と言うには中味をよく知らない、恋人と言うには何かが欠けている、彼。
自分にとってたった一人のセフレ。
複雑な繋がりにある同級生は人気のない特別棟フロアにいた。
美術教師に腕をとられて。
……ああ、そういえばあいつ、淫乱だったな。
……セックス好きだから、誰にでも足開くんだよな。
二人に気づかれないよう踵を返そうとした阿南は視界の端に引っ掛かったそれに気をとられて思わず足を止めた。
三里の片頬が不自然に赤い。
まるで殴られたような。
「三里」
不自然な違和感を把握した瞬間、阿南は三里を呼んでいた。
呼ばれた三里はのろのろ振り返った。
「今すぐ一緒に帰るぞ」
そして今現在に至る。
「あっあっあっふぁっぁっんっ」
両肩に三里の両足を引っ掛け、ぐっと前のめりになり、盛んに腰を振り乱す。
肌と肌が打ち鳴らされて、ぱんぱんぱんぱん、うるさい。
射精の前兆を示すように睾丸が競り上がってくる。
抉じ開けられてきゅんきゅん締まるアナルをフル速度で行き来する阿南のペニス。
引き抜く瞬間、外気に露出される竿表面を走る青筋はくっきり太く際立っていて。
三里の愛液と大量カウパーで隈なく卑猥にぬめり渡っていた。
「は……ッ……くっ……」
「くは……ぁ……っはうっ……はうっ……はうっ……」
三里の濡れた唇が艶々していておいしそうだ。
でも、今は一先ず射精したくて、キスしたい欲望を抑えて阿南は腰を振り続けた。
このなかで早く射精して、早く三里にキスしたい。
先に達したのは三里だった。
ぶるぶる全身を波打たせ、さらに阿南のペニスをきゅんきゅん締めつけ、薄ピンク色のペニスから濃密白濁泡をびゅるりと発射させた。
阿南もすぐに追い着いた。
苦しげに眉根を寄せ、容赦ない締めつけの中で思いのまま勢いよく射精した。
「ふぁぁんっ……おちんぽから精液びゅーびゅーきてる……っっ」
さも気持ちよさそうに三里はシーツの上で仰け反った。
無防備な猫が仰向けになってごろごろするように、急所の全てを阿南に曝す。
「……阿南くんにいっぱい種付けされてる……」
潤んだ双眸で、とろんと蕩けた顔で、三里はふにゃりと笑う。
一度繋がりを解いた阿南は三里を抱き起こした。
我慢していたキスをクラスメートのセフレに存分に捧げる。
「んふぅ……ふっ」
「……口の中……凍みてないか」
「……ぅぅん……平気ぃ……もっとぉ……」
「……なんで殴られた」
「ふぁ……お尻貸さないんだったらイラマさせろって……ぁふ」
「……」
「それより……殴られるのが、マシだって……思ったんだもん……」
「……」
「……ん、むぅ……でも……阿南君……かっこよかったぁ……王子様みたいだった……」
「……どこがだ」
三里と頻りに舌先を絡ませ合いながら阿南は心から苦笑した。
「……ほんと、お前って……淫乱……」
不意に移動した阿南に三里は目をぱちくりさせた。
跪いた阿南は一切の迷いもなしに。
三里のペニスを一気に頬張った。
「あ」
思いも寄らなかった突然の初行為に電流じみた快感がびりびりびりびり、背筋から脳天へ駆け上がった。
「あ……っあにゃ……あにゃん、く……っん……!!」
阿南は初めて口にした同性の性器を舌で愛撫した。
片時も静止することなくよがりまくっている三里の反応ぶりを感じていると、苦ではなく、むしろ挿入時とほぼ同等の満足感が湧いてきた。
「ひ…………!!!!!!」
阿南にペニスを吸われた瞬間、三里は次いで達した。
阿南は三里の欠片もそのまま全て口にした……。
「嬉しいな」
「なにが」
「まさか阿南君が僕の、ごっくんしてくれるなんて」
「ノリだろ」
「ノリでも嬉しいもん」
「なぁ、ここ出たら晩飯食わないか」
「食う。食べる」
「何食おうか」
「阿南君」
「……」
「阿南君も僕のこと、いっぱい、これからも残さず食べてね?」
「……バーカ」
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