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「……穴を開けるな、三里」 「あ。ばれちゃいました?」 「……お前、何考えてる」 コンドームに爪楊枝で穴を開けようとしていたところを阿南に咎められて三里は正直に告白する。 「先生のこども欲しいです」 「……」 「セフレの分際で図々しくてスミマセン」 「……お前はまだ高一だ」 「高一でも欲しいもん」 「……絶対に駄目だ」 ガーーーーーーーーーーン。 ナマ挿入を拒まれたときよりもショックを受けた三里はゴムと爪楊枝を持ったまま固まった。 「……三里」 「ごめんなさい、僕、ほんと、何考えてるんだって感じですよね」 「……三里」 「重たいですよね、セフレなのに、でも阿南先生に迷惑かけるつもりはなくて」 「……」 「先生のこども、ただ欲しくて、きっと幸せだろうなって、あれ、僕、なんか、いろいろ勘違いしちゃってました、バカみたいですね」 「三里」 ぼろぼろ言葉を吐き出す三里を阿南は抱きしめた。 言葉足らずで多くを語らない阿南先生は一言だけ。 「お前が卒業したら」 肝心な言葉は言わない、途中で台詞を切ってしまう、しょうがない、阿南先生はそういう性格なのだ。 それでも三里は。 嬉しくて嬉しくて。 年月を経た、念願の、卒業式。 記念すべき行事をうわの空で終えた三里は阿南宅のベッドに制服姿で腰かけて阿南を待っていた。 足元には卒業証書の入った筒が転がっている。 阿南宅の合鍵はきちんとテーブルに置かれているのに、うわの空で、足でそれを転がす三里、ただのけしからん生徒になっている。 ベッドには色とりどりのコンドームが散りばめられていて。 「今日はどれがいいかな」 やはりけしからん淫乱生徒の三里、ごろんとベッドにうつ伏せてゴムの物色を始める。 そこへ阿南が帰ってきた。 滅多に見られないスーツ姿、様になっている。 コンドームだらけのベッドにうつ伏せて「おかえりなさい」と言った三里に「……ただいま」と返事をし、床に転がっていた筒を合鍵の隣に置いた。 「阿南先生、今日はどれがいいですか? ツブツブの気分ですか? ぬるぬるの気分ですか?」 「……違うだろ、三里」 「え?」 「……俺が言ったの、忘れたか」 「え? あ、卒業したら、って、でもあれ、え、卒業式、今日あったばかりで、」 三里がぺちゃんと座るベッドに自分も腰を下ろして阿南は言う。 「卒業おめでとう、三里」

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