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「阿南君」 ランドセルは部屋の隅に置かれていた。 ワンルーム、乱れたベッドの端っこに座る阿南君。 男とセックスしたばかりの部屋に食べちゃいたいくらい愛しい生徒がいる。 「阿南君、いきなりどうしたの……?」 「お見舞い。隣のクラスの先生に住所、聞いて」 「そ、そうなんだ……でも勝手に人の部屋に入ったらダメだよ?」 「はい。クリームパン」 「ッ……ッ……ありがとう」 「先生、さっきしてたのって」 「え」 「あれ、せっくす?」 「……覗いてたの?」 「男の人と、せっくす、してた?」 「……」 「ふつう、男の人って、女の人とせっくすするのに」 こどもにしては喜怒哀楽が読み取りづらい阿南君に「せっくす」連呼されて、クラクラしながらも、セフレのきたねぇ体液がくっついたベッドに長居されてはマズイと、三里先生は阿南君を退かそうとした。 「阿南君、そこ退いてくれる……?」 手を伸ばして腕をとろうとしたら逆に自分の腕を掴まれて。 戸惑っている間に、どさりと、ベッドに押し倒されて。 自分より半分近く小さいサイズの生徒が真顔で真上にやってきた。 初の本命相手に成す術もなくうろたえている三里先生、至近距離で平然と顔を覗き込んできた阿南君に、かぁぁぁっと真っ赤になった。 「もしかして三里先生って女の人なの」 思いも寄らない勘違いに三里先生はずれた眼鏡の向こうでその双眸を見張らせた。 そんなわけがない、三里先生がそう答える前に、阿南君は自分で確かめてみようと。 三里先生のぺちゃぱいに両手でぺたぺた触れてきた。 「ない」 教室では俯きがちで授業以外はあまり生徒と口を利かない三里先生。 今日、初めて、阿南君は担任の顔をちゃんと見たような気がした。 「……先生、女の人じゃないから」 ぱっと見は地味だけれどもよく観察してみれば三里先生は綺麗な顔立ちをしていた。 女の人みたいにすべすべした肌。 だから、もしかして、と阿南君は思ったのだ。 でも小さな掌で確かめた胸はまったいらで、柔らかな膨らみなどちっともなくて。 「女の人じゃないんだ」 「違うよ……」 「あ、でも、女の人でもぺったんこな、貧乳だっけ」 阿南君は性懲りもなく薄手のシャツ越しに三里先生の胸をぺたぺたし続ける。 くすぐったい。 それに、わふわした甘い匂い。 男前予備軍なのに、その意外な組み合わせに苦しいくらい胸を締めつけられてしまう。 「三里先生、貧乳の女の人?」 「ッ、阿南君、も、揉まないで?」 膨らみ皆無のぺちゃぱいを小さな両手が捏ねるように揉んでくる。 無邪気とは言えない探るような意味深な手つき。 三里先生はぶるりと背筋を震わせた。 恐る恐る肢体を捩らせて、声が上擦らないよう注意して、自分に馬乗りになった阿南君に小声で注意する。 「やめて、阿南君……先生、女の人じゃないから」 「うん」 「うん」と言いながらも阿南君は揉むのをやめない。 食べたい、かぢりたい、そんな妄想を抱いてたけれど、実際はむり、むり、むり、そんなことできるはずがない。 セフレ相手なら好きなだけ求めることができたのに。 緊張した手足は重たくて、熱を孕んで、怖いくらい体内に沈殿して。 下半身が魘される。 「先生のおっぱい、揉んでも大きくならない」 「……当たり前だよ、女の人だって、揉んだからって、そんなすぐ大きくなるわけじゃ、」 「でもココが、」 シャツ越しに片乳首をキュゥッと摘ままれる。 「ッッッ!」 「ちょっととんがってきた」 どうしよう。 あんまりにもしつこく揉まれるから、乳首、勃っちゃった。 セフレが相手なら「もっといぢって」って言えるのに、阿南君だと絶対むり、恥ずかしくて死にそう……。 三里先生、どうやら真性淫乱ではなく仮性淫乱だったようだ。 本命なる阿南君の前で初心まぐろと化してぷるぷる震える三里先生、一方、阿南君は淡々と乳首攻めを続ける。 「みんな、こんな風になるの」 両乳首をキュゥッと同時に摘ままれる。 「あ、ッ」 親指と人差し指で挟み込まれて、くにゅくにゅ、擦られる。 乳首自体がジンジンして、胸の奥がぞくぞくして、何とも言えない究極の切なさに全身を蝕まれる。 「硬くなった、コリコリしてる」 「あ……阿南くん……」

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