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「行ってらっしゃい、先生、帰りは何時になりますか?」 「昨日と同じくらいだ」 「はぁい」 また午前中にやってきた制服姿の三里に見送られて学校へ向かった阿南。 しかし昨日と同じ時間帯に帰宅することはできなかった。 部活中に生徒が怪我をしてしまったのだ。 本人は捻挫だろうと判断したが念のため総合病院の救急受付に車で連れて行き、結果、足首の剥離骨折ということでギプスで固定、数週間で治るだろうと診断された。 保護者に連絡を入れると母親が駆けつけ、病院を出るまで一緒に付き添った。 帰るのが大幅に遅れた。 連絡をいれるほどでもないかと、そう判断した阿南、日が大分傾いて夕立の降り出した裏通りを車で走り抜けて帰宅したのだが。 「先生」 裸エプロン……ではない、制服姿の三里がアパート前の駐車場脇にぽつんと立っていた。 傘を差していない。 全身、濡れてしまっている。 車を降りて向かう前に三里の方から小走りに駆け寄ってきた。 「おかえりなさい、先生」 「……三里、どうして傘を持ってないんだ」 阿南が尋ねれば三里は何故かきょとん、胸の辺りに両手を翳して夕立の降り頻る空をぐるんと見上げた。 「あ。気づきませんでした」 「……」 「先生だって傘、持ってない。夏風邪引いちゃいます」 それはこっちの台詞だ、三里、 「くしゅんっ」

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