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30-4

アパート三階、角部屋のワンルームなる阿南の住まいに三里は初めて招かれた。 「ん……っんぅ……っふぅぅぅ……っ」 うそみたい。 阿南先生にキスされてる。 食べられるみたいに、唇、むしゃむしゃされてる。 「んんっ……せんせ、ぇ……ン……っ」 カーテンを閉め、照明を点した明るい部屋、壁際のベッドに浅く腰掛けた阿南のお膝に三里はお座りしていた。 両手には包帯が巻かれている。 三里が病院に行くのを嫌がり、幸いにも傷口は浅く出血も少量だったので、阿南が介抱した。 華奢な細腰にしっかり絡みついた筋張った両腕。 仄かに色づく唇に隙間なく重なった寡黙な唇。 時に覗く二人の舌先。 互いの唾液に濡れそぼって、縺れ、尊い微熱に縋り合っていた。 「んぷぅ……」 うっとり目を閉じてキスに感じきっている三里を阿南は薄目がちに見下ろした。 ……葛藤はもう邪魔なだけだ。 「は……ぁ……せんせぇ……」 下唇を甘噛みしてきた三里に否応なしに滾って、阿南も、たっぷり潤いの増した唇を食んだ。 「んっっ……ぁ……もっと……僕のことむしゃむしゃしてください……あ、でも……シャワー……浴びたいです……」 「……手が凍みるぞ」 「あ、そっか……」 「……俺も一緒に浴びる」 これまでの人生において恋人と一緒におふろなんて億劫で経験したことがなかった阿南は、その上、生まれて初めてお姫様抱っこというものにまで至った。 「わぁ。こんな快適な乗り物初めてです、先生」 「……乗り物扱いするな、三里」 「最初に言いましたけど、僕、ヴァギナがついてるんです」 手探りで進めてみれば指先に触れた違和感。 「ついてるでしょ、阿南先生……?」 脱衣所の明かりが差し込む薄暗い浴室、一端シャワーを止め、正面からタイル壁にもたれた三里の背に密着した阿南は眉根を寄せた。 双球と後孔の狭間に走る亀裂。 しっとり温もった、確かな感触。 「……阿南先生」 いきなりぐるりと三里が顔を上げた。 「僕、先生にさわってほしいです」 股間に差し込まれていた阿南の大きな手に手を重ね、もっと深くへ導く。 「さわって……? 僕のこと、隅々まで、ぜんぶ……阿南先生に知ってほしいです」 眼鏡をかけたままの彼に希われて、阿南は、その亀裂をゆっくり上下になぞってみた。 「んンっっ……もっと、さわって……ちゃんと奥まで……お願いします……」 淡い刺激に切なげに眉根を寄せ、腰を揺らめかせる三里に、阿南の体は素直により滾った。 なぞるだけだった指を鉤型に曲げ、熱いシャワーに濡らされた薄い肉襞を掻き分け、その奥へ。 おもむろに指の腹で膣孔を小突いた。 「ぁぅっ」 「……本当はろくに信じてなかった」 「ン、ん、ん……うそつきって、思いました……? でも、うそじゃないよ……?」 「ああ……ここにあるな……お前の……」 じわりと蜜の滲んだソコに中指をあてがい、傷つかないよう心がけ、粘膜のひしめき合う肉壺に浅く捻じ込んだ。 「あんっ……せんせぇの、指ぃ……挿入(はい)ってきました……」 「……お前のナカ、熱い」 「せんせぇの指だって……熱いです……はぅぅ……奥、来てぇ……? 阿南先生ぇ……」 ぐ、ぐ、ぐ、節くれ立つ長い中指を三里の内側にもっと捻じ込ませていく。 ねっとりと纏わりついてくる粘膜。 緩々と第二関節まで進め、腹側を直になぞってみれば、一段と蜜量が増した。 「はぁん……たっちゃぅ……」 快楽に弱い蜜孔を阿南の指にゆっくり刺激されて三里は究極切なそうに仰け反った。 独りでに半勃ちとなってカウパーを滴らせるペニス。 平らな胸の突端にツンと芽吹いた薄ピンク色の突起、二つ。 双球の付け根で密やかに勃ち上がった肉芽なるクリトリス。 「ぁ……先生ぇ……僕、たっちゃぅ……」 「……どこが」 「ぜんぶ……先生にさわられて、乳首も、おちんちんも、あと、ココも……」 三里は自分の手も股間に潜り込ませ、密やかに屹立していた肉芽を撫で上げた。 「ココぉ……僕のクリトリス……僕の、雌おちんちん……たっちゃぅの……」 「……」 「も、すごぃ、ぬるぬる……とろとろしてます……」 正直、スケベにも程がある、阿南はそう思った。 「……自分の手はあまり動かすな、三里、安静にしてろ」 「ふぇ……」 「……俺がやる」 阿南のもう片方の手が不埒な発熱に漲る場所へ追加された。 蜜孔に潜り込ませた中指を緩やかに出し入れさせ、同時に、コリコリと実った肉芽をそっと爪弾いた。 「あーーーーー……っっ」 途端に三里の甘い嬌声が浴室に響いた。 「あ……ごめんなさい……お隣さんに聞こえちゃいますね……」 「……隣は空き部屋だ」 コリコリ、ぷっくりとした質感を指腹でじっくり確かめながら阿南は震え続ける三里に教えてやった。 ……確かにこの体は中毒性が高い。 ……依存してしまうのも無理はない。 三里の艶めくうなじ辺りで阿南は深呼吸した。 暴走しないよう、勢い余って上り詰めないよう、自分自身を一端落ち着かせるために。 ……中てられたからと言って本能のまま酷に虐げるなんて自分本位にも程がある。 「……や、あ、ン……」 音が立つほどに溢れてきた蜜孔を中指の先で丁寧に掻き回され、肉芽を小刻みにしごかれ、三里は思わず項垂れた。 「……音、すごいな、いつもこうなのか」 「っ……こんな、ぁ……濡れなぃ……こんなすぐ、いっぱい……ぁっ、ぁっ、ぁっ……」 「……どこがいい、どうしてほしい」 「ゃっっ……せんせっ……」 「……俺に教えてくれ」 阿南の囁きが触れる耳朶まで火照らせて三里は日焼けに疎い丸みある双丘をピクピクさせた。 「指ぃ……もっと、ほし……」 阿南は三里に従った。 ぐっしょり濡れ渡った蜜孔に薬指を、次から次に溢れ出る愛液の滑りを借りて惜しみなく捧げた。 「は……っっっ……あ、あン……ひろがっちゃ……っ……せんせ、突いて……っ……僕の雌穴……っ……ぐちゅぐちゅしてぇ……」 「……メスとか、そういう風に言うな、三里」 「んぅぅぅぅっ……きもち、ぃ、ぃ……っ……溢れちゃぅ……っ」 目立たない喉骨を引き攣らせた三里は涙目で阿南を仰ぎ見た。 うっすら汗をかいた、いつになく険しげな面持ちの体育教師に胸底を焦げつかせて。 愛しい指をきつく締めつけ、唾液浸しになった唇をぎこちなく動かした。 「僕の……女の子なところ……男のところ……先生の好きにして……?」

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