18 / 47
Ⅲ:9
「そんな物、拾ってどうするの」
「あ…」
だって…だってそれは…俺が、特別だって証で。俺が、お前の唯一だって証で…。それが外れてしまったら、俺は…俺は…。
「や…やだ…いや…だ」
「何が? ずっと外したかったんでしょう? やっと外せて良かったじゃない、喜んでよ」
踏まれた手の痛みなんて感じなかった。それよりも、首輪が外れたことによる虚無感と喪失感の方がずっと痛くて、怖くて。
「嫌だ…はず、はずしたら…いやだ」
あんなに重く感じていたのに、あんなに外したかったのに。やっとソレから逃れることができたのに、それがどうしてこんなに怖いんだろう。
無心で嫌だと頭を振る俺を、見下ろしていた清宮が冷たく笑った。
「ねぇ伊沢くん、頬っぺが赤くなってるよ。手ぇ踏まれて感じちゃった?」
「なっ、ちが…」
カッ、と更に頬を紅潮させた俺に清宮が口角を上げる。
「じゃあ何でココ、こんなにしてるの?」
手の甲から外れた足は、そのまま俺の固くなり始めていた中心へと移った。
「あっ、あ…やめッ!」
つま先を押し付けてグリグリと捩じ込む。痛みが強いのに、背筋には堪らない痺れが走って口から唾液が溢れる。
「もしかして、お座りさせられただけで感じちゃった?」
「いッ、あっ、ぁあッ」
「ハジメと付き合うとか言ってたけど、こんな淫乱な躰がさぁ、俺以外で満足できるとか本気で思ってんのぉ?」
「いッ、いんら…じゃ…なあぁあっ、アッ、ひあぁあッ!」
一際強く踏まれたソコが、下着の中でぐっしょりと濡れる。先走りから何から大量に出てしまったそれらは下着に収まらず、まるで漏らしたみたいに履いていたデニムに濃いシミを作った。
「みんなの前で座らされて、手ぇ踏まれて、ちんこ踏まれて。それでイっちゃうなんて、これのどこが淫乱じゃないって言うの?」
軽くかけられただけのswitchのせいで、周りの状況は今もよく分かる。俺を見ていた周りから嘲笑が漏れ、羞恥で全身の血が沸騰する。
言い返したいのに言い返す余裕が無いほど、俺の躰は絶頂によって興奮していて、でもまだまだ足りなくて。清宮に沢山不満があったはずなのに、それを口にするよりももっとずっと優先したいものが、こいつから与えられる快楽で。こいつにしか、与えることのできない快楽で…。
一ミリも触られていない尻の奥がグズグズと疼く。そんな自分が情けなくて涙が出た。
ともだちにシェアしよう!