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Ⅲ:9

「そんな物、拾ってどうするの」 「あ…」  だって…だってそれは…俺が、特別だって証で。俺が、お前の唯一だって証で…。それが外れてしまったら、俺は…俺は…。 「や…やだ…いや…だ」 「何が? ずっと外したかったんでしょう? やっと外せて良かったじゃない、喜んでよ」  踏まれた手の痛みなんて感じなかった。それよりも、首輪が外れたことによる虚無感と喪失感の方がずっと痛くて、怖くて。 「嫌だ…はず、はずしたら…いやだ」  あんなに重く感じていたのに、あんなに外したかったのに。やっとソレから逃れることができたのに、それがどうしてこんなに怖いんだろう。  無心で嫌だと頭を振る俺を、見下ろしていた清宮が冷たく笑った。 「ねぇ伊沢くん、頬っぺが赤くなってるよ。手ぇ踏まれて感じちゃった?」 「なっ、ちが…」  カッ、と更に頬を紅潮させた俺に清宮が口角を上げる。 「じゃあ何でココ、こんなにしてるの?」  手の甲から外れた足は、そのまま俺の固くなり始めていた中心へと移った。 「あっ、あ…やめッ!」  つま先を押し付けてグリグリと捩じ込む。痛みが強いのに、背筋には堪らない痺れが走って口から唾液が溢れる。 「もしかして、お座りさせられただけで感じちゃった?」 「いッ、あっ、ぁあッ」 「ハジメと付き合うとか言ってたけど、こんな淫乱な躰がさぁ、俺以外で満足できるとか本気で思ってんのぉ?」 「いッ、いんら…じゃ…なあぁあっ、アッ、ひあぁあッ!」  一際強く踏まれたソコが、下着の中でぐっしょりと濡れる。先走りから何から大量に出てしまったそれらは下着に収まらず、まるで漏らしたみたいに履いていたデニムに濃いシミを作った。 「みんなの前で座らされて、手ぇ踏まれて、ちんこ踏まれて。それでイっちゃうなんて、これのどこが淫乱じゃないって言うの?」  軽くかけられただけのswitchのせいで、周りの状況は今もよく分かる。俺を見ていた周りから嘲笑が漏れ、羞恥で全身の血が沸騰する。  言い返したいのに言い返す余裕が無いほど、俺の躰は絶頂によって興奮していて、でもまだまだ足りなくて。清宮に沢山不満があったはずなのに、それを口にするよりももっとずっと優先したいものが、こいつから与えられる快楽で。こいつにしか、与えることのできない快楽で…。  一ミリも触られていない尻の奥がグズグズと疼く。そんな自分が情けなくて涙が出た。

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