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Ⅳ:4

 ◇  大学内で俺がボッチなのは今に始まったことではないが、妙な視線に晒され詰られる回数は圧倒的に増えた。漆黒の首輪を着けられていた時も好奇と嫉妬の視線は突き刺さっていたが、今はその非じゃない。それもこれも全て、清宮に着けられた新しい〝首輪〟のせいだ。  首輪を象ったようにつけられた、首の周りをぐるりと一周する赤と紫。どう見たって他人から付けられたと分かるその鬱血痕は、俺への執着心を一瞬で伝えられるだけの狂気を放っている。  その相手がどこぞの平凡で冴えない奴だったなら、周りもここまで俺に敵意を込めた視線を向けたりはしないだろう。むしろ嘲笑の的だったに違いない。だがしかし、だ。その相手というのがあの清宮だからこそ、周りは俺を許せずにいるのだ。  DomもSubもノーマルも、男も女も関係なく惹きつける、派手な容姿と頭脳と金。  俺をクズだと蔑み、後ろ指差して笑っていた奴らが、今では笑う余裕さえ無くして嫉妬をダダ漏れさせている。ハッキリ言ってそんな視線は、俺を憂鬱にするどころか多大な優越感を与えていた。 「俺を馬鹿にした罰ってやつだ、バァカ」  ひとりほくそ笑みながら、食堂でうどんをすする。そんな俺の目の前に、見覚えのない一人の女が荒々しく腰を下ろした。 「ねぇ、アンタでしょ? 清宮くんのお気に入りだって噂の相手」 「だったら何だよ、ブス」  どうせまた嫌味を言いに来たんだろうと睨みつければ、相手は想像した通りの顔を見せた。 「ウザッ! お前に言われたくねーんだよこのブス男! いい気になってんなよ!? どうせお前も直ぐに捨てられるんだから!」  女はテーブルを思いっきり叩いてその場を去った。なんだ、アイツ。俺がまたうどんをすすっていると、今度もまた、見覚えのない男が俺の前に座った。 「女の子は激しいねぇ~」 「…誰だお前。嫌味言いに来たならいい加減にしろよ、殴んぞ」 「わぁお、君も気が強いね。清宮くんはソコを気に入ったのかな?」  俺は箸を止めて男を見た。 「お前、清宮の相手か?」 「違うよ」  予想はサラッと跳ね除けられた。

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