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Ⅳ:6

◇  久しぶりに見た自分の部屋は、何だか薄暗くて埃っぽい。あの写真の中の煌びやかな奴らにも、清宮にも、まったく似合わない世界。  敷きっぱなしになっていた煎餅布団に躰をなげる。そこで大の字になると、漸くホッと息がつけた。やっぱり、俺にはこっちの世界がお似合いだ。 「あーあ、何だかなぁ」  遊び人である清宮に、過去が無いなんて思ったことはない。むしろ沢山いるだろうことは容易に想像できた。そこに不快感を覚えたことなんて、今まで一度もなかった。  だって、アイツが勝手に俺にくっついてきて、勝手にパートナーだと名乗って、恋人へ昇格させたんだ。そこに俺の意志はなかった。……はずだった。  俺がいたって遊びに行けばいいし、相手にすればいい。ずっとそう思っていたのに、清宮が俺以外のDomやSubを相手にする姿を見た時、俺は初めて不快感を覚えた。  あまり思い出したくないが、俺以外を相手にするな、俺だけを見ろと清宮に強要した事実がある。だけどそれだって、理由はイマイチわかっちゃいなかった。  ただ漠然とした不安と不快を取り除きたくて言ったことだった。  そうして今日、元清宮の相手だった奴らの顔を見た。……吐くかと思った。  こいつらも俺と同じように、清宮のあの部屋に連れ込まれて、あの広いベッドの上に組み敷かれて、まるで獣のように躰を貪られたのだろうか。貪られたその後は、大事に大事に躰を洗ってもらったんだろうか。  気怠い意識を浮上させたその時、一番最初に見る景色は、綺麗に保たれたあの真っ白な壁だったんだろうか。 「俺だけだって、言ったじゃねぇか…」  自分では処理しきれない、ドロドロとした真っ黒な感情が、俺の奥底から吹き出した。

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