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あれよあれよという間に済し崩しに水村は初めて後ろを。
その長身に見合った北見のご立派な……で、清らかだった後孔を奥まで開発された。
「うう……っく……ぅぅぅぅ……ッ」
後ろからゆっくり突かれる。
怖いくらい優しく。
氷を捻じ込んできた強引な男と同一人物とは思えない緩やかな律動に水村は呻いた。
どうしよう。
すごく、すげぇ、気持ちいい。
意外とあんまり痛くないし、太いアレで前立腺削られる度、意識が飛びそうになる。
でも「いい」なんて誰が言ってやるか!!
「今は初心者向けに動いてるけど」
ベッドにしがみつく水村の腰を掴んで支え、床に立つ北見は、一目見て気に入った尻を力任せに揉みくちゃにした。
下肢の服を乱した程度の二人。
氷が完全に溶けてぬかるむ内側を緩やかに突かれ、外側に強めの刺激を刻みつけられる。
何とも言えない強弱の差に水村は喉奥で唸った。
「あいつが好きなのは。こういうの」
満足そうに口角を持ち上げた北見は水村の片腕をとると背後にぐいっと引っ張り上げた。
「ちゃんと覚えるように……ていうか、嫌でも覚え込ませてあげようか」
上体が浮いた年下の男子大学生を急に激しく突き始める。
スローテンポな律動で僅かに拡がり、解されかけていた仮膣をいきなりガツガツ攻め立てられて、水村はとうとう声を上げた。
「ああぁぁ……ッ」
「あいつはさ、ひどいくらいが感じるから」
今のお前みたいに。
生理的な涙を散らして悔しげに喘ぐ水村の耳元で北見は悠然と強請った。
「名前。教えて?」
「は……っ……みず……みずむらぁ……ッ」
「水村、なに」
「こぅ、や、ぁ……航也……ッ」
「航也のココ、メグより淫乱かもしれない」
水村の、航也の全身が過剰に波打った。
彼の両腕を掴んで引っ張り上げた北見は、容赦ない腰遣いでバージンを喪ったばかりの尻孔を攻め立てた。
「あっ……ちょっ、待っ……いきなりこんな……ッ……このやろ……ッ」
「冷たくて熱い奥、俺のペニスで突かれながら。イキ狂ってみて、航也?」
「はっはぁ……っあ……っ……んんん…………っは……はあ……あッ」
航也は手加減なしに北見を締めつけ、無防備に喘いで、ガクリと項垂れた。
「ふぁ……ぁ……っぁ……っん……ん、く……っは……ぁ」
一頻り尻奥の窄まりを連打された後に両腕を解放されると、ベッドにくたりと倒れ、それでも肩越しに薄目がちに北見を睨みつけた。
「強情なコだな」
繋がりが解けないようベッドの上へ運ばれたかと思えば。
片足を大きく持ち上げられた。
背後に横向きに寝そべった北見に今度は背面側位で突かれる。
唐突に切り替わった高速ピストンに萎えるどころか健やかに勃起したペニスをしごかれながら。
「ひッッ」
「な。航也のケツ、ほんと気に入ったんだけど」
「あ! あっ! あぁぁあっ!」
「その泣き黒子もいいよ、そそる」
北見は目のすぐ下にある航也の泣き黒子を舐め上げ、ついでに喘ぎっぱなしの唇にも舌先を這わせた。
「むっ……っんむ!」
「は……ッなぁ、いい?」
答えは航也の体が雄弁に物語っていたが。
北見は敢えて航也の口から答えを聞きたがった。
自分がこれまで及んだことのない体位で攻められ、カウパーでしとどに濡れるペニスを長い五指で執拗に擦り上げられ、惜しみない愛撫を捧げられて。
航也は答えた。
「ッ……ぜんっぜん……ちっとも……まったく……!!」
反抗的な唇を自分の唾液で余すことなく潤した北見は小さく笑う。
「俺は気持ちいい、航也」
そう囁いて、成す術なく先に達した航也の汗ばむ腹に爆ぜるように絶頂の雫を叩きつけた。
週末。
航也は再び単身、北見のいるカフェバーを訪れた。
「あ。どうも」
「……どーも」
「何にする?」
北見は先客が頼んだカクテルを作っていた。
繊細なグラスに色鮮やかな酒が滑らかな手つきで注がれていく。
「メグっちと別れた俺を盛大にもてなせ、北見さん」
片頬を青く腫らし、片目に眼帯までつけていた航也の姿に予想はついていた。
北見は声もなく笑う。
「そのオーダーなら叶えてあげてもいい」
「フン、えらそーに」
「そうだ、航也はバージンカクテルがいいかも」
「? バージン、アンタがとっただろ?」
バージンカクテルとはノン・アルコールのことだ。
航也の勘違いに北見はぶはっと声を立てて笑ったのだった。
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