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スパイスの香りが漂う多国籍料理の店にて。
先日の一件(氷挿入もろもろ)の侘びだと、航也は北見に晩御飯をご馳走になっていた。
しかしその顔色は先程から優れない。
『やっぱコウ君って薄情な性格してんだね』
恵弥に吐き捨てられた言葉が脳内をぐるぐる回っていて気にせずにはいられなかった。
俺って薄情なんだろうか。
メグっちと付き合ってる時点で、北見さんにヤられて感じて……自分からメグっちに別れを切り出して。
そんで、借金があったこととか、金せがまれたことに、かなりショック受けてる。
薄情っていうより、あーあ、ガキくさ。
「……北見さんさぁ」
「うん」
「メグっち俺には無理って、あれ、借金あるから別れた方がいいって、もしかしてそーいう意味だったのかよ?」
ハイネケンを飲んでいた北見は首を左右に振った。
料理がいくつか並ぶテーブルに瓶を下ろし、前屈み気味になって、小さく息をつく。
「借金云々より、適当に媚びて適当に金借りて。感情もろくに抑えないで腹が立てばすぐに相手を殴って」
「……」
「あいつの危ういくらいの軽々しさが俺は嫌いだった」
「別れた原因ってそれ?」
その問いかけに北見は返事をしなかった。
『言っとくけど北見の方が俺より何倍もタチ悪いからね』
去り際に恵弥に告げられたその言葉もずっと航也の脳内をぐるぐる、ぐるぐる。
まぁ確かに、こいつ、メグっちと付き合ってるってわかってて俺のこと……あんなしたりこんなしたり……あんなことまで……。
「顔赤い」
「はっっ」
「もう酔ったの、ココナッツパイン一杯で、安上がりで助かるけど」
「うるへぇっ」
「この後どうする」
「へぇっ?」
「カルアミルクつくったら飲む?」
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