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4-ゴーゴーホワイトデー

とある平日、恵弥は以前付き合っていた大学生の年下元カレから急に呼び出しを受けた。 仕事が休みだった美容師は指定されたスタバへドヤ顔で、ヨリ戻してほしいのかな、どうしようかな、コウ君見た目フツーで体の相性ビミョー、金持たない大学生だけど、あの泣き黒子はけっこー気に入ってる、うん、ヨリ戻すのもアリかな、期間限定で、そんな上から思考を巡らせてやってきた。 「北見さんの好きな食べモンって何だろ」 「は?」 「メグっち、知らない?」 ソファ席で向かい合うなり開口一番、今現在聞きたくない名前ナンバーワンを口にされた挙句、その質問内容に……短気な恵弥のブチギレカウントダウンがスタートした。 「次の土曜、ホワイトデーだから……俺、金ないし……だから北見さんの好物でも作ろうかなって、そう思って。でも本人に聞くのもあからさまで嫌っていうか」 ブチギレ三秒前、元カレの水村航也が見せたガキっぽいながらも純粋な一面を目の当たりにし、恵弥は、そこでカウントを中断すると。 にーーーーっこり笑った。 「北見はね、キノコ系だよ、特にシイタケとか?」 3/14 昼過ぎに自宅アパートへやってきた航也を快く出迎えた北見だが。 本日キッチンを借りたいと前もって申し出ていた、大学生の年下恋人が提げていたレジ袋の中身をさり気なくチェックし、密かに……目を疑った。 「あ、見んなよ、北見さん」 「航也、どうしてこんな、エリンギとかシメジとか……シイタケ……とか?」 「なっ、何となくだよ!」 メグっちに好物聞いたとか恥ずかしくて言えるわけねー。 好物どころか北見の最も苦手とする食べ物を聞かされていたとは知る由もない航也、余所のキッチンで不慣れな手つきながらもキノコだくさんの和風スパゲティを作った。 「いただきます」 北見は、完食、した。 これまで恋人に手料理を振る舞ったことなど一度もなかった航也は真っ白になったお皿に新鮮な喜びを覚えた。 誰かに食べてもらうために料理することがこんなに楽しいなんて、そんなハッピーな気持ちで後片付けは北見に任せて悦に入っていたら。 恵弥からピロロロロンとメールが。 内容をチェックしてみれば。 <北見よろこんだ?> <キノコ特にシイタケ、あいつダメなんだよね> <この前伝えたからそれら除外できたよね?> <まさか勘違いしてキノコ系つくってない?> <(^キ^)(^ノ^)(^コ^)> 「……やられた」

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