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一先ず航也が目をつけたのは無料相談を実施している法律事務所だった。 携帯で調べてみればなかなかな数がヒットし、サイト全体をざっと見、胡散臭くない誠実そうなところをいくつかブクマした。 「メグっち、とりあえず相談行ってみよう」 春の嵐到来の翌日、午前中の講義に出、その足で北見宅のワンルームを訪れると床で毛布に塗れて寝ていた恵弥を問答無用に揺り起こした。 「う~~まだ眠い……」 眠いって、もう昼の十二時なのに? 昨日遅くまで起きてた? 北見さんと? まさか二人……? ほら、こーいう疑惑にかられるから、嫌なんだ。 早いとこメグっちの借金問題整理して出てってもらわねーと。 「ほら。ここだとネット予約可だって」 「イケメン弁護士いないの」 欠伸交じりにぼやく恵弥にお構いなしに「もしも本格的に依頼する場合、司法書士だとちょっと費用安いみたい」と航也は相談先のリサーチに余念がない。 「そもそもメグっち、なんで借金したの?」 「ギャンブル♪」 「うわ……それだと自己破産、難しいとか書いてたよーな……個人再生ってのもあったけど、それだと一定の収入が必要だって……うん、とにかく相談行こう」 自分本位の借金塗れで寝起きながらも美人度が高い恵弥は。 「ありがとー、コウ君、親身になってくれて」 航也に抱きついた。 「うん、お礼はいーから。ちゃんと見て。どの事務所に相談行くか今決めて」 出勤時刻が夕方五時のため自宅にいた北見は、両手にコーヒーカップ(自分と航也の分)を持って二人を眺めていた。 「ほんと熱心だね、航也」 そりゃあ、早くメグっちにココから出てってもらいたいんで。 昨日の夜だって、今頃二人一つ屋根の下って、それ考えただけで頭いっぱいいっぱいで、寝付き悪かったんで。 「じゃあ、もうココでいいね。予約するよ」 「ふわぁ~~い」

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