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落ち着いたモノトーンで統一されたシックモダンな和洋室。
二つ並んだセミダブルベッドの内、一つは布団が捲られることなく整然と設えられたまま、もう一つのベッドでは。
「あっ……あっ……あっ……あっ……!」
陶然と捩れたシーツ。
羽布団は板間に滑り落ちる始末。
「北見、さ……っっ」
涙で濡れた泣き黒子が堪らない。
自分の真下でこれみよがしに浴衣を乱して身悶える様に北見は普段以上の興奮を覚えていた。
「航也、意外と浴衣似合うんだ」
「意外、は……余計なんだよッ……んん……ああ……っ」
「意外と色っぽい」
閉じないよう膝を掴まれ、両足を抉じ開けられていた涙目の航也は頭上を見上げた。
和紙が張られた間接照明にぼんやり写し出された年上の恋人に改めて釘づけになった。
北見さんの浴衣姿……やっば……。
「ココ、こんなにして、えろいコだな」
下腹部にまで反り返っていたペニスを揶揄されて「誰のせい……ッ」と悔し紛れに睨みつければ涼しげに一笑された。
腕を引かれ、抱き起こされて、向かい合って。
もっと奥までやってきた北見のペニスに微痙攣していた唇を唇で塞がれた。
「ン……ン……っ」
唾液で満遍なく温んでいた口内を緩やかに掻き回される。
微熱が混ざり合う過激なキスに従順に火照っていく。
「ふ……っぅ……」
しがみついて自らも腰を揺すり出した航也の律動を北見は補助してやった。
浴衣の裾を可能な限り捲り上げ、露出させた尻をぐっと掴み、小刻みに揺さぶった。
「は…………ッッ!!」
キスを解いて航也が思いきり喉を反らすと、ありふれた色に染められた髪に片手を添え、速やかに再開へ持っていく。
下肢と同様に濃密に交わる舌と舌。
時に涙の味がする泣き黒子も舐め、唾液を溢れさせて感極まる航也に思わず笑う。
「ッ……今、笑ったな……クソジジィ……」
「だって。お前、可愛いから」
至近距離で見つめ合ってもどかしげにキスを繰り返した。
互いに熱心に動いて共に絶頂を求めた。
「またいきそう?」
「んっ……いく……っでる……」
「俺もいきそう」
「っ……あんたも……溜まってた分だせよ……ッ?」
煽ってきた航也をベッドに押し倒して本能のままひたすら腰を突き動かし、先に達した恋人の奥で、北見は果てた。
「ん……」
「ッ、ッ、ッ……あ、あ、あ……っ……すげッ、いっぱい……やば、い……っ」
仮膣最奥で荒々しく痙攣しつつ熱流を噴き上げる北見に航也は無意識に抱きついて頬擦りした。
「……北見さん……」
どこにでもいそうなありふれた容姿の、就活地獄に落ちて闇雲に彷徨っていた大学生を、北見は一晩かけて労ってやった……。
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