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二十一歳の大学生、水村航也は二十八歳の年上バーテンダー・北見と現在交際中だった。 昨夜は正規スタッフとして北見が雇用されたカフェバーにお邪魔してお酒を飲んで帰った。 本日・土曜日はお泊まりの予定だ。 北見は深夜まで仕事で帰りは二時過ぎになるが、明日の日曜日は休みを入れている。 つまりお互い時間を気にせずゆっくりできるわけだ。 夕方まで大学の図書館でレポート作成に励みながらもボールペンを握る航也の手は止まりがち、だった。 古着屋を辞めてあの店の常勤スタッフになってから、北見さん、すっかり夜型になった。 シフト制で週休1~2日制、店自体は不定休。 もう一人、ヘルプ的なバーテンダーがいて、北見さんが休みのときはその人が出勤、イベントなんかで忙しいときはいっしょに店に出てるとか。 俺は学生だから時間も比較的つくれっけど。 バイトもビアガ・ビアホとかフェス設営の単発ばっかで今はしてねーし。 就職したら休みが合わなくなりそーだよな。 アパレルとか販売は目指してねー、一般企業総合職第一希望、特にこれやりてぇ!って目指してるモンはない。 でもとりあえず来年から就活に本腰いれなきゃ、だし。 余裕がある今の内に会えるだけ会って、いっしょの時間、過ごしたいよな。 ……なーんて、あー、なんかカユイ、心がカユイ。 「あ、水村っ!」 ありふれた色に染められた髪を照れ隠しにぐしゃぐしゃしていた航也は横を向いた。 集中講義に出ていた知り合いが何やら切羽詰まった表情で駆け寄ってきて、どうしたのかと出迎えてやれば。 「水村今日夜暇!?」 「は? なんつった?」 「今日の夜お暇かっ?」 友人のただならぬ迫力に航也は何度もパチパチ瞬きした……。

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