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第2話

結局その日は飯も食わずにそのまま寝てしまい、起きたら親父は既に仕事に出かけていた。 その日から少しずつ親父の荷物が少なくなって、俺が1人で寝る回数が増えていった。 それでも親父は俺が作った飯は食ってくれるし、いつも通り優しい親父だ。 そしてあっという間に親父がイタリアに行く日になった。 平日だったが、明日から櫻木に転入する俺は休みで、親父の見送りに来ていた。 「じゃあ俺は行くけど、お前問題とか起こすんじゃねーぞ?」 「分かってるよ。」 「おい、そんな泣きそうな顔すんな。行きたくなくなんだろ。」 「じゃあ行くなよ。」 「馬鹿か。行かなきゃいけねーの。そろそろ時間やべえから行くわ。毎日メールくらいはしてやるよ。」 「ん。」 「じゃあな。」 あっさりしたお別れに見えるけど、実は親父も泣きそうなのを俺は知ってる。 本当は離れたくないって思ってくれてる。愛してくれてる。それが分かるから、それ以上親父にわがままを言わなかった。 そして俺はダッシュで家に帰って、うちで1番大きいクマのぬいぐるみを抱きしめた。 大きさは、俺の身長よりもでかい。ほら、は○めしゃち○ーの所○みたいなやつ。 これは、先日16歳の誕生日を迎えた時に親父がくれたもの。 流石にデカすぎて、持っていけないから、ここに置いていかなきゃいけないのが少しさみしい。1人で寝る時は必ずこいつがいたから尚更だ。 ちなみにこの家は、叔父さんが買い取って残してくれるらしい。 俺としてはたまに帰ってきたいし、すごくありがたい事だ。 少しの間でっかいクマ(ちなみに名前は斎藤)に抱きついていたけど、外が暗くなり始めたので明日の準備をして、早めに寝ることにした。

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