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第4話

過去最速で走った俺は校舎と思しき建物に入った。このあとは理事長である叔父さんに会いにいかなければならない。 しかし、この建物であってるのかも定かではないのにたどり着けるのだろうか… うんうんと唸っていた俺の肩を誰かに叩かれ振り返ってみると、さっきの副会長がニッコリと笑って立っていて、これは逃げなければと思い足を踏み出した。しかしその前に腕を掴まれてしまい、俺はその場に留まらざるを得なくなった。 「1人で突っ走ると迷子になりますよ?」 「誰のせいで走ったと思ってるんですか。」 「その言い方だと僕のせいみたいですが。」 「みたいじゃなくてあんたのせいですよ。」 「ほう… そんなことより、理事長の元へご案内します。」 「何がそんなことですか。まあ、案内していただけるんでしたら、お願いします。」 「…案外礼儀正しいんですね。」 「人を見た目で判断しないでください。」 「そうですねぇ… さて、ここですよ。理事長には気をつけて下さいね。あなたのような方は襲われてしまう可能性がありますので。心配です。」 「はあ…」 慣れてる… なんて言えないな。まあすぐバレるだろ。 コンコン 「理事長、西園寺です。実波くんをお連れしました。」 「ん!?入って入って!!」 ガチャ… ぎゅぅぅうう!!!! 「壱雅ぁー!!!俺の可愛い壱雅!よく来たな!待ってた!ほら、座って座って?」 「魁斗さん… 苦しい…」 「え!あ、ごめんね壱雅!大丈夫?息できる?」 「うん、魁斗さんが離してくれれば大丈夫。」 「それは無理だよ!6億年ぶりくらいに壱雅に触れるんだよ!?我慢とか無理!」 「6億年とかしれっと嘘つかないでくれる?魁斗さん嫌いになるよ?」 「ダメダメ!離れるから!!嫌いになんないで!?」 「…あの、僕もいるんですけど。」 「あ、すまん副会長。壱雅を連れてきてくれてありがとう。話が終わるまで外で待機してくれるか?」 「はぁ… その前にお二人の関係をお伺いしても?」 「…魁斗さんは、俺の叔父さん。」 「そうそう。私の弟の子でね。弟に似てしっかりしてる子なんだよ!」 「親父の話すんな!」 「…昨日の今日だし、まだ切り替えられないか?」 「当たり前だ!」 「んんんんんん!!!泣きそうな壱雅も可愛いよ!寝れない時は俺に連絡してきていいからな?何なら俺と寝るか?」 「おじ… 魁斗さん変なことするから嫌だ。ぜってぇ寝れねぇ。」 「理事長!実波くんに何したんですか!」 「えぇー!何もしてない!それと壱雅?叔父さんって言いそうになったの聞こえたからな?」 「嘘だ!してくるじゃねぇか!叔父さんって言いそうになったのは、その、ご、ごめんなさい…」 「壱雅…!!ちゃんとごめんなさい出来て偉いな!!よしよし!!」 「ん…」 叔父さんに頭撫でてもらうの超気持ちいんだけど… 親父の手と比べて寂しくなるから今はだめ。 「壱雅、何かあれば俺を頼れ。何があってもお前を守ってやる。 …いや、俺に壱雅を守らせてくれ。」 「俺守ってもらうほど弱くないけど、魁斗さんがそうしたいなら、いいよ。なんかあったら相談する。」 「ありがとう。それじゃあ、学園について説明するからね。副会長。」 「はい。外で待機しております。終わり次第、お声がけ下さい。」 ちょっとバタバタしたけど、魁斗さんの学園に来て初めて安心できる場所を見つけたみたいだ。

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