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第11話
部屋に戻り、彰と生活するにあたってのルール、家事分担、その他もろもろを決めた。
彰は基本料理は出来ないが、食事の配膳はやってもらうし、洗い物も洗剤の量からスポンジの使い方など、基礎中の基礎から教えてやってもらうことに。
あとは掃除と洗濯のやり方を教え、部屋に備え付けられた風呂に入って、その日は就寝。沢山動いて疲れたのか、ぬいぐるみが無くても寝れた。ほぼ気絶に近かったけど。
翌日、俺は魁斗さんからのモーニングコールで目覚めた。
【おはよう壱雅!起きたか?】
「ん…ぉはよ…」
【寝起きの壱雅も可愛いだろうなぁ…昨日はよく眠れたか?】
「ぅん、いっぱい動いたから、疲れて寝ちゃった。」
【そうか。ところで壱雅、俺に弁当を作ってくれないか?今日は時間的にも難しいだろうから、明日からでいいんだけど…】
「ん…今まだ調理器具ないからしばらくは無理かも…」
【え!どれがない!?言ってみ?】
「んー、オーブンと冷蔵庫以外ないよ… コーヒーのミルとかもないし… 学園内で揃う?」
【大丈夫だ壱雅!俺が何とかする!今日帰ってくる頃には完璧な状態にしておくから!】
「え、そんな、悪いし…」
【転入、入寮祝いだ!壱雅の淹れるコーヒーも久々に飲みたいしな。】
「ん…わかった。ありがと、魁斗さん。」
【おう、じゃあ弁当楽しみにしてるから。】
「うん、仕事がんばって。」
【サンキュ。お前も頑張れよ。】
「うん。」
電話も終わり、制服に着替える。
細かい千鳥格子の模様が入ったグレーのスラックスを履き、ブルーのシャツに袖を通す。
今日は少し肌寒い程度だと言っていたから、後でカーディガンを羽織ろう。
学校指定のカーディガンは黒、白、キャラメルの3種類をそれぞれ2着ずつ配布されていた。
今日はキャラメルのやつを着よう。
カバンも指定のやつはあるが使用は任意で、大半の生徒が自分の好きなものを使っているらしい。
真新しいローファーを磨き、共有の玄関に置いた。
彰と校舎まで一緒に行くことになっているので、時間を見ながら歯磨きやらなんやらを済ませる。
まだ起きてこない彰を起こしに行き、準備をさせて食堂で朝食をとった。
「イチくんってオカン属性持ってるよね、絶対。」
「あ?まあ、人を起こすのは慣れてる。」
「あー、なんかわかる気がする。僕を起こした時も手際よかったし、制服とかもパパっと渡してくれてさー、もう僕と結婚してほしいくらい。」
「俺、偏見とかはないけどお前は絶対対象外だわ。」
「わお、はっきりと深い傷を作ってくるね。そーいうの嫌いじゃないよ。」
そんなこんなで朝食を食べ終えた俺たちは、その足で校舎に向かった。
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