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第12話
到着後、念の為彰に理事長室に付いてきてもらい、入口前で別れた。
彰は最後までイベントーとか萌えがーとか喚いてたけど、やっぱり俺には分かんなかった。
ノックをして、魁斗さんの返事を待ってから入室。別にカードを使ってもいいとは思うんだけど、念のためな。
「おはよう、壱雅。」
「おはよう。」
「もうすぐお前の担任も来るから、そこに座って待ってよう。」
「うん。」
それから10分もしないうちに、扉をノックする音が聞こえ、これまたイケメンが入ってきた。
そのイケメンの見た目はホストそのもので、俺の苦手なタイプだ。
思わず顔を顰めてしまった俺に、その男は自己紹介を始めた。
「あー、1S担任の宮藤 拓海 (クドウ タクミ)だ。特別に拓海って呼ばせてやるよ、壱雅。」
「…魁斗さん、クラス変えられないかな?」
「壱雅ごめん、無理だ。それと宮藤先生、壱雅を気安く呼び捨てにしないでくれ。」
「お言葉ですが、なぜ理事長にそう言われなけれはならないのですか。」
「俺が嫌だからですよ。俺の名前は、大切な人にしか呼び捨てにさせない。そう決めているんです。それなのに、大して仲も良くない人間、ましてや初対面のあなたに呼び捨てにされる筋合いはないんです。」
「は?俺は一目惚れするやつが続出するほどの見た目で、一瞬にして特別になるだろ!?」
「はぁ… 俺、あなたみたいな傲慢な人が心底嫌いなんです。担任じゃなきゃここまで喋ることもありえないんです。クラスが変えられないのであれば、あまり話しかけないでください。」
話しかけないでください発言に、担任は驚愕の表情を浮かべ、しばらく目を泳がせた後、激しく落胆した。
よほど好かれる自信があったのか、その顔は信じられない、どうしてそうなるなどの感情を周知させるものだった。
そんな担任を見て、俺は少し。ほんのすこぉーしだけ、好感を持った。
まあ、最初がマイナススタートなだけに、まだプラスの印象を持てている訳では無いが、この人はいろんな意味で素直で、馬鹿なのかもしれないと理解できれば、自分の中では可愛いものに見えてくる。
五月蝿いバカは嫌いだが、素直なバカは嫌いじゃない。
もう少し、この人を観察してみるのもいいかもしれない。
「…くくっ そんなに落ち込まないでくださいよ。これから教室に連れて行ってもらわなきゃなんですし、あだ名くらいなら呼んでもらって構いませんから。ね?」
「ホントか!?」
「あだ名くらいいいですよ。イチ、とでも呼んでください。」
「イチ… イチ…!き、教室いくか!」
「はい。それじゃあ理事長、ありがとうございました。」
「相変わらず、壱雅は人を誑し込むのがうまいな。」
「ははっ… 何のことだろ?」
俺の中で、この担任は俺様ホストから大型ワンコにカテゴリーチェンジした。
それにしても、俺は誑し込むなんてこと出来るわけないのに、魁斗さんってば変な事言うなぁ…(^ω^)ニコニコ
さて、お友達ができるようにシミュレーションでもするかー
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