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第15話

教室を出て10分くらい校内をさまよった俺は、漸く理事長室に到着。 俺ほんと昨日から移動しかしてねえな(当たり前) あー、ノックめんどい。カードでいっかー。 ピッ ガチャ 「…何人殺したの←」 「な、なんだ壱雅か!びっくりさせんなよまじで…」 「あー、うん。いつでも来いって言われたからね。いっかなーって。で?何人殺ったのか白状したら?」 「誰一人として殺めてねーよ。」 「ふーん… ま、いいや。別のこと聞きに来たわけだし、今のに大した意味もないしね。」 「ふーんて… ていうか授業は?」 「自習なんだって。彰が言ってた。」 「そうか。んで、聞きたいことって?」 「ああ、それなんだけどさ。俺って転入試験受けたっけ?」 「あ?受けただろ。ちょっと待ってろ。」 俺が来た時に移動して座ったはずの来客用のソファーから、徐に魁斗さんが立ち上がり、デスクの引き出しを探り出した。 しばらくして戻ってきた魁斗さんの手には、何やら厚めの封筒があり、そこには俺が以前通っていた公立高校の名前が記されていた。 「昨日渡そうと思ってたんだが、バタバタしたろ?だから渡せなくてな。これ、お前が受けたテスト。」 「へぇー」 封筒を開けてみると、それには見覚えがあった。 確か2か月前くらいに前の担任が特別課題だとか言って、LHRのときにやらしてきたやつだな。 問題用紙にそのまま答えを書き込むタイプだったから、解答欄を気にせずにパパっと解いたんだったか。 うお、まじで満点じゃん。俺天才説。 「お前これ全部で30分かからなかったんだって?」 「あ?時間見てなかったけどそーなんか?」 「いや知らねえけどよ。お前の元担任が言ってたぞ。」 「そりゃあいつが盛ったんじゃね。」 「どーだかな。お前ならやりかねん。」 「俺そんなに頭良くねえぞ?」 「公立校の入試満点でパスしたやつの言葉じゃねえな。」 「あんなんまぐれだべ。」 「うちの転入試験はその3倍難しくしてんだけど。」 「あー、確かに公立の入試よりは楽しかった気がする。」 「楽しめるレベルかよ…」 次からはもっと難しくしようとかブツブツ言ってる魁斗さんはほっといて、コーヒーでも飲もうと席を立った。 「あ、お前が使うかと思ってドリップセット取り寄せてあるぞ。」 「さすが。遠慮なく使わせてもらうわ。」 「おー、隣給湯室だから好きに使えよ。」 理事長室に専用の給湯場があるってどーなんだよ。つか魁斗さんサイホンまで置いてんじゃん。 俺はドリップ派だから多分使わないけど。

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