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第16話
うちの家系はコーヒーが好きな人が多いんだけど、それに加えてこだわりも強いから色々めんどくさい。
俺は基本グアテマラ産の豆が好きなんだけど、魁斗さんはモカ・イルガチャフェっていう品種が好きで、親父は知り合いがやってるカフェのオリジナルブレンドをいつも買ってきてた。
それぞれの豆に1番美味しいって感じる量と、挽きの粗さがあるから、ベストを探し出す作業がまた楽しい。
とまあ、マニアックな趣味詰め込んでもしょうがないし、とりあえず俺と魁斗さんのコーヒーを持って、魁斗さんのところに戻った。
「壱雅、お前できないこととかないのか。」
「あ?あー、できないってことはないな。」
「女子力がいるやつは大抵出来るもんな。」
「そーだな。割と力もある方だとおもうし、できないこと聞かれても思い浮かばねぇ。」
「あれは?モノマネ。」
「親父のモノマネなら余裕で出来るぞ。」
「あー、あれは怖いくらい似てるよな。美術系は?」
「水彩画、油絵、写真、書道、音楽、全部1回は賞とったな。」
「おーおー、お前は天才か?」
「努力派なんだよ。小学校まではバケモンみたいな犬描いてたかんな。」
「それ見たことあるわ。それが写真並みのクオリティでかけるようになるとは… ゴーストペインターでも雇ったか?」
「なわけ。俺はペンより筆の方が相性がいいらしくてさ。ペンでも上達はしたけど、筆の方がいい作品が描けるようになった。」
「それを鼻にかけてないとこも璃人に似たよな、本当に。」
「そう?嬉しいね。」
親父は俺の憧れだし、似てるって言われるのはすげえ嬉しい。
しばらく世間話をして、もうすぐ授業が終わる時間になったので教室に戻ることにした。
そして部屋を出る間際、魁斗さんが俺を呼び止めた。
「壱雅。」
「お前は俺の、自慢の甥だ。」
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